2007年10月6日(土)「しんぶん赤旗」
政治のゆがみ ただす時
沖縄・くらし・テロ特措法
市田書記局長が代表質問
参院本会議
「国民の審判に向き合う仕事はあなたに課せられている」―。日本共産党の市田忠義書記局長は五日、参院本会議で代表質問を行い、自公政権の基本路線に多くの有権者が「ノー」の審判を下した参院選の結果にふれ、沖縄戦の教科書検定問題、国民の暮らし、テロ特措法などで福田康夫首相の姿勢をただしました。
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市田氏はまず、「戦後レジームからの脱却」を掲げた安倍政治が残した傷跡の象徴として、旧日本軍による沖縄戦での「集団自決」強制を否定した文科省の教科書検定問題を取り上げました。
検定意見撤回を求める9・29沖縄県民大会に自ら参加して実感した県民の思いを代弁しながら、「『集団自決』は紛れもなく日本軍の強制によって引き起こされた。誰が強制なくしてわが子を殺(あや)めるか」と強調。歴史の真実をゆがめる検定意見の撤回のために、政府として責任を果たすようただしました。
また、国民が「ノー」の審判を下した弱肉強食の「構造改革」路線が暮らしと福祉を破壊してきた実態を告発しました。緊急打開策として(1)障害者自立支援法による応益負担制度の廃止(2)国保証取り上げの中止と負担能力をはるかに超えた国保料(税)の引き下げ(3)お年寄りに過酷な負担を押し付ける後期高齢者医療制度の中止・撤回(4)二十五年以上の保険料納付という受給資格の短縮など年金の改革(5)ネットカフェ宿泊者への支援や「日雇い派遣」をなくす―などを求めました。
福田首相は、後期高齢者医療制度の保険料徴収の凍結について「今後予算措置も含めて十分に検討する」と述べたものの、「制度の理念、方向性は適切」などと制度撤回を拒否しました。国保証の取り上げについては「制度が機能するための仕組み」、年金受給資格期間の短縮は「未納を助長し低年金者を増やす結果にならないか」などと答えました。
市田氏は、福田首相が「ぬくもりのある政治」を本気で目指すのなら、暮らしに困っている庶民には増税、空前の利益をあげる大企業には減税という「税・財政のゆがみをただすべきだ」と迫りました。
海上自衛隊のインド洋派兵を政府が継続しようとしている問題について市田氏は、アメリカの「対テロ報復戦争」が事態の悪化しかもたらさなかったことを強調しました。
アフガニスタンで長年、民生支援活動を続けてきた中村哲医師が「『殺しながら助ける』支援というものがあり得るのか」と述べていることを紹介し、「テロ撲滅には何の役割も果たせなかった報復戦争への協力はきっぱりやめて、最大の被害者であるアフガン国民の立場に立った人道支援に切り替えるべきだ」と求めました。
福田首相は、「人道支援によって、海上阻止活動は代替できない」とのべ、軍事支援第一の態度を示しました。