2007年10月7日(日)「しんぶん赤旗」

主張

米価暴落

国産米を守る緊急対策を


 実りの秋を迎えました。猛暑つづきでしたが、今年の稲作は平年並みです。秋の実り、おいしい新米は日本の風物詩です。

 ところが、その実りが喜べないだけでなく、安心して食べられなくなる懸念が広がっています。生産者米価が大暴落しているからです。

米作り危うくする事態

 ことしの米価は、価格形成センターで入札された価格が前年比で7―10%も安く、最も高いコシヒカリでも六十キロあたり一万四千円台です。農協系統組織が農家に支払う概算金も、七千円を基準に、上乗せされても一万円程度となっています。

 米価暴落の原因は、政府が需給調整を全面的に生産者の責任に転嫁し、流通段階でも大手流通業者の買い叩(たた)きを野放しにし、そのうえ備蓄目的の政府米を安売りして市場価格の引き下げを促進していることにあります。政府は、米価暴落は過剰が原因、いまの制度には価格対策はないなどと暴落を当然視しています。

 政府の米の生産費調査(二〇〇六年産)によると、六十キログラムあたりの生産費は一万六千八百二十四円、ことしもほとんど変わりません。多くの農家から、肥料代など支払いができない、米作りができなくなるなど、悲痛な声があがっています。その打撃は、大規模経営や集落営農など、農業への依存の高い生産者ほど深刻です。

 日本の米は、国民の主食であるとともに、農業生産の主柱として、農家の生活と地域経済を支えてきました。それが、一九九四年のWTO農業協定の受け入れと価格政策の全面的な放棄などによって生産者価格が大暴落し、〇六年産米で農家が受け取った家族労働報酬は時給換算で二百五十六円にすぎないなど、生産の維持さえ危うくしているのです。

 米価格の下落に伴い、全国の米総生産額は九五年の三兆一千八百六十一億円から、〇六年には二兆三百九十六億円にまで激減しました。米価の下落と農業の衰退が、国内農業と地域経済の危機をまねいたことはあきらかです。先の参院選挙で、農村部で自民党に厳しい審判が下った大きな要因が、米価の下落にあると指摘されたのも当然です。

 しかも、最近の世界情勢は、異常気象で農業生産が不安定化する一方で、人口の増大、バイオ燃料への利用拡大などで需要が増大し、穀物の期末在庫が過去最低となり、国際価格の上昇が続いています。そのため、小麦や大豆、トウモロコシなど輸入原料を使用している食品値上がりなど、幅広い分野で国民生活への影響が出始めています。

 金さえあれば食料はいつでも輸入できるという時代ではなくなりつつあります。

 米価暴落を食い止め、適切な生産者価格を保障することは、国産米の供給を守るという点でも、農家、農村をこれ以上疲弊させないという点からも、国政上の緊急課題です。

安定供給に価格保障を

 日本共産党は、参院選挙の政策で、不足払い制度を創設して、農家手取りを生産費に見合う水準に近づけることを提案しています。米輸入の停止を含め、国の責任で米の需給を安定させ、価格政策を農政の柱にする方向に米政策を転換することこそ、農家が安心した生産に取り組め、国民が安心して食べられる保障です。

 米政策の抜本的転換をめざしながら、異常な米価下落を食い止めるために、政府米の買い上げや買い叩き防止など、具体的な対策を早急に講ずることが重要です。


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