2007年10月9日(火)「しんぶん赤旗」
「集団自決」検定意見で米紙報道
「日本政府に沖縄が抗議」
【ワシントン=鎌塚由美】米紙ニューヨーク・タイムズ(七日付)は、「集団自決」検定意見について日本政府に抗議する沖縄の人々を紹介。十一万人の県民大会が開かれた宜野湾市から特派員電で伝えています。
「第二次世界大戦の悲痛な一章を見直す日本政府に沖縄の人々が抗議」と題し、七十八歳の牧師、金城重明氏らの体験を紹介。同氏は、自決を迫られ、母親と弟と妹を「泣きながら、殴り殺した」ことを告白。「日本軍がそこにいなければ、集団自決は決して起こらなかった」と同紙に語りました。
「集団自決」について同紙は、米軍が沖縄に上陸後、「日本軍は避難所から住民を追放し、人間の盾として使った。日本軍が占拠した村々では数千人が自殺したと考えられる。日本軍のいなかったところでは、集団的自殺は起こらなかった」と紹介。
「検定」問題については、日本の高校教科書は過去二十五年にわたり「沖縄の人々が、帝国陸軍兵士によって集団的自殺を強制されたという歴史事実」を受け入れていたにもかかわらず、文部科学省の検定意見で「日本軍に関するすべての表現を削除」することになったとしています。
そのうえで「強制・命令したかどうか不明」との理由で検定意見をつけた文科省は「政策変更を説明する新たな証拠に言及していない」と指摘し、「はっきりしているのは発表のタイミングが、日本政府が公立学校で『愛国心』を強調する新法を通過させた数カ月後」だったことだと紹介しました。
また「事実、過去十年にわたり、国粋主義の学者や安倍晋三前首相のような政治家が、日本軍が犯した犯罪についての教科書の記述を清めるためにたたかってきた」と述べ、日本の歴史わい曲勢力の存在に触れています。
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