2007年10月12日(金)「しんぶん赤旗」

原潜入港で放射能汚染→原因不明

米圧力で答弁変更

74年日本政府


米文書で判明

 米原子力艦が寄港を繰り返している沖縄県の港湾が放射能で汚染されていた問題で、米政府が日本政府に圧力をかけて「汚染ではない」と国会答弁を変えさせていたことが、国際問題研究者の新原昭治氏が入手した米政府の解禁文書で明らかになりました。米政府の主権侵害と同時に、圧力に簡単に屈した日本政府の姿勢が問われます。

 八日に横浜市で開かれた「ストップ! 原子力空母首都圏シンポジウム」でこの問題を明らかにした新原氏は、「他国の国会答弁を平気で変えさせる。日米同盟というが、対等でも何でもない。本当に従属状態だ」と述べました。

 発端は、一九七四年二月二十五日に参院決算委員会で日本共産党の加藤進議員(当時)が行った質問です。

 加藤氏が沖縄県那覇港とホワイトビーチの海底の泥から放射性物質の一つであるコバルト60の高い数値が検出された問題を追及したのに対し、伊原義徳科学技術庁原子力局次長(当時)は、「(コバルト60の)ある程度の部分は原子力潜水艦からのものであると推定される」と答弁し、米軍による放射能汚染を認めました。

 ところが伊原次長は三日後の二月二十八日、他の議員の質問に、「(コバルト60の異常数値の原因は)まったく不明であるといわざるをえない」と答弁を訂正し、当時、問題となりました。

 この答弁訂正のてん末を報告したのが、今回新原氏が入手した、米国務長官あての外交電報(主題:『原潜による放射能汚染の指摘』、一九七四年二月二十七日付)です。

 これによると、加藤氏の質問の翌日に米大使館政治・軍事担当参事官が外務省の安全保障課長に対し、伊原答弁には「仰天している」と伝え、「今後このような言明が繰り返されない」よう要求しました。外務省関係者はただちに伊原次長に会い、「国会での言明は間違って口にしたものだった」と認めさせています。

 さらに米大使館の参事官は、この問題での説明方法について細かく指示を出し、「自然界に存在するコバルト60も(当初発表した「異常数値」に)含めるよう提案」し、外務省担当者も理解を示したと報告しています。

 ところがコバルト60は自然界に存在しません。米国務長官が同年三月六日に在日米大使館にあてた電報で、「コバルト60は自然界に存在しない」と指摘しました。この経過から、外務省は、科学的に誤った指示であっても無批判に受け入れていたことが示されています。



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