2007年10月13日(土)「しんぶん赤旗」
連合大会
反転攻勢へ「非正規」重視
連合が「連合が変わる、社会を変える」をスローガンに、労働運動の再構築を掲げたのは、二年前の第九回大会でした。
運動の原点
小泉「構造改革」路線で深刻化した貧困と格差から国民・労働者の生活を守り、安全・安心の社会を築くため労働運動の役割発揮が求められたことが背景にありました。
労組全体の組織率が20%を割り、自ら「がけっぷち」と呼ぶほど影響力が低下したもとで、連合は、すべての勤労者・市民から共感され、社会的責任を果たす運動を推進することを宣言し、中小・非正規労働者に焦点をあてた取り組みを真っ先に掲げました。
今春闘では、経営サイドに傾斜した労働分配率の反転や、最低賃金の時給千円への引き上げを掲げて、賃金改善の統一闘争に取り組みました。
時給千円を掲げる全労連など労働者のたたかいが広がるなかで、地域別最賃は従来にない二ケタアップが実現しました。
ワーキングプア(働く貧困層)の根絶にはほど遠いものの、政府・財界を包囲して勝ち取った成果は、労働者に確信と新たな力を与えています。一致する要求に基づく共同こそ労働運動の原点であり、ここにこそ反転攻勢の展望があります。
今大会で連合は、非正規雇用問題への取り組みを運動の柱にすえ、「非正規労働センター」を設置して連合あげて取り組むことを掲げました。規制緩和が続いてきた労働者派遣法を抜本改正し、登録型派遣廃止や均等待遇など派遣労働者の権利擁護も打ち出しました。
すでに全労連や地域ユニオンなどでは、非正規労働者と共同してたたかい、偽装請負の告発と直接雇用化など企業や政府を揺り動かす成果をあげています。
政府の後押しで財界がすすめる「グローバル競争力」の名による非正規雇用の拡大こそワーキングプアの根源です。均等待遇や正規雇用化など非正規労働者の問題に連合が真正面から取り組むならば、組織の違いをこえてたたかいが広がり、新たな前進を勝ち取る展望をつくりだします。
出番の情勢
加盟労組の一部からは「構造改革の必要性を主張すべき」「生産性向上を置き去りにして雇用は守れない」などと「構造改革」路線にとらわれる声も聞かれますが、参院選で示されたように「構造改革」・改憲路線ノーこそ国民多数の声です。
米国の報復戦争支援のテロ特措法への態度表明を連合が先送りしていることについて、「連合は平和を守る姿勢をきちんと出すべきだ」(私鉄総連)との声も大会で出されました。国政の重要問題について、ナショナルセンターとして国民の願いを受け止めた役割発揮が求められています。
参院選を受けて世論と運動で要求を実現できる条件が広がるもとで、労働運動の出番の情勢となっています。今大会スローガンで「すべての働く者の連帯で、ともに働き暮らす社会をつくろう」を掲げた連合が、どんな要求を掲げて、どんな共同を広げていくのか、今後のたたかいが注目されます。(深山直人)
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