2007年10月13日(土)「しんぶん赤旗」
世界でも異常な不公正・反民主的な選挙制度とは?
〈問い〉 日本の選挙制度は、世界でも異常な不公正・反民主的なものというのは本当ですか?(京都・一読者)
〈答え〉 日本の選挙制度は世界でもいかに異常かを見てみましょう。
まず議員選出方法です。日本は衆議院300議席を小選挙区制で選ぶため、05年総選挙で得票率47・8%の自民党が議席の7割以上占め、日本共産党は7・3%の得票率でも議席ゼロで、大政党有利に民意をゆがめるものとなっています。480の全議席を比例代表制にすると、自民党は得票率38・2%で183議席、日本共産党は7・3%で35議席となり、民意が正確に反映されます。
世界で小選挙区制が実施されている国は少数です。主としてイギリスの植民地であった国々がほとんどで、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア(下院)などです。
フランスは歴史的に比例代表制を採用したこともありますが、現在は小選挙区制をとっています。他の多くの諸国は比例代表制です。
欧州議会の議員選挙もイギリスを除いて比例代表で選出され、イギリスでは比例代表制を求める世論が高まっています。
政党活動への国庫助成では、日本は議席数と得票率に応じ国民1人あたり250円を配分しており、06年の政党本部の全収入に対し、自民党64・4%、民主党83・8%、社民党51・5%を占めるに至っています。政党財政が国家に依存し、税金が国民の政党支持の自由を侵害して配分されるのは異常です。
外国ではドイツや北欧諸国のほか、カナダ、アメリカ、フランスなどで、政党活動への国庫助成が導入されています。しかし、ドイツなど各国で、政党のあり方として、国家から独立して活動すべきだとの強い批判があります。
供託金制度でも、日本は国政選挙に立候補するには、選挙区300万円、比例代表600万円もの供託金が必要です。外国ではアメリカ、ドイツ、イタリアには供託金制度がなく、フランスは約2万円の供託金を95年に廃止しました。供託金のある国でも、イギリス10万円、オーストラリア5万円などと低額です。
日本は巨額の金を使ったCMや新聞広告は天下御免ですが、草の根での選挙活動は、ビラ・ポスターなど文書活動がきびしく制限され、インターネット利用や戸別訪問が禁止されています。
昨年4月、日本共産党の吉井英勝衆院議員が日本の選挙運動規制について質問したのにたいして、総務省はアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスとも戸別訪問は自由、文書配布とインターネットはフランスで一定の規制があるが、他の3国は自由であると答えました。(光)
〔2007・10・13(土)〕