2007年10月14日(日)「しんぶん赤旗」
北九州市で全国集会
貧困死 絶とう
生活保護多重債務 生存権保障する行政に
「貧困ゆえの死者をこれ以上出すな」と十三日、北九州市で全国から弁護士や研究者、市民が集いました。生活保護の適切な運用、積極的な多重債務対策を行政に求め、全国で運動をすすめることを確認しました。
北九州市では、生活に困窮した市民が行政によって生活保護から排除され、餓死・孤独死、自殺に追いこまれる例があとをたちません。これらの事件を契機に「もうがまんできない。市民の力で貧困を絶つ」との運動が全国に広がりました。
集会では、同市によって生活保護の申請を拒否され、自殺しようとするまで追いこまれた当事者が実態を告発。「みなさんの援助で生活保護をうけられ、今は安心して生活しています。あのまま生活保護を受けられなかったら、ここにいなかったかもしれません。行政は困った人を追い返すのではなく助けてください」と訴えました。
基調講演した宇都宮健児弁護士(日弁連多重債務対策本部・本部長代行、反貧困ネットワーク代表)は、自殺者が年三万人を超え、うち七千人は経済苦を原因としていることをあげ、多重債務の背景に貧困があると述べました。北九州市で起きた餓死・孤独死事件について「行政がきちんと対応すれば命は救われた」と強調しました。
「貧困ゆえの死者を出さない行政」を問うパネルディスカッションや行政と連携して多重債務の解決にとりくんでいる経験交流を踏まえ、「集会宣言」を採択しました。
宣言は、生活保護からの排除による死と多重債務による自死は行政が貧困を解決できなかったがゆえの死で、生存権を侵害する共通の問題だと指摘。「私たちの国から貧困による死者を生み出さないために」行政にたいし、生活保護行政の適切な運用と積極的な多重債務対策を強く求めると呼びかけています。
日本共産党の仁比聡平参院議員があいさつし、「みなさんと一体となった運動で申請権の尊重などを行政はいわざるを得なくなっている。生存権保障にみあう行政の責任を果たさせるように力をつくす」と述べました。
集会は、「生活保護問題対策全国会議」と「行政の多重債務対策の充実を求める全国会議」とが共催しました。集会後、参加者は会場周辺をデモ行進しました。