2007年10月16日(火)「しんぶん赤旗」

検定意見の撤回と記述の回復を

10・15総決起集会 市田書記局長あいさつ(大要)


 十五日、星陵会館で開かれた「教科書検定意見撤回を求める総決起集会」で日本共産党の市田忠義書記局長がおこなったあいさつ(大要)は以下の通りです。


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(写真)あいさつする市田忠義書記局長=15日、東京都千代田区

 九月二十九日の沖縄は、気温三〇度をはるかに超えていました。あの海浜公園を埋め尽くした十一万人もの人々の静かな熱気と、歴史の改ざんは絶対に許してはならないという地鳴りのような叫びと怒りを、県民大会に参加した私もびんびんと感じ取ってまいりました。

 沖縄戦での「集団自決」が日本軍の強制・命令・誘導なしには起こりえなかったことは、もはや明々白々であります。

 私は五日の参院本会議の代表質問で、次のように述べました。

 「誰が強制なくして、我が子を殺(あや)めるでしょう。自ら手をかけざるをえなかった子どもたちをぎゅっと抱きしめ、『こんなに大きくなったのに、生まれてこなければよかったね。ゴメンね』。亡くなった人も生き残った人も軍の命令の前に、みなこの悲しみを抱いたのです」

 今、沖縄で暮らす人たちは、この時代を生き延びた人たちであり、その子孫です。

 福田康夫首相は、「沖縄県民の声を重く受け止める」といいましたが、「政府は、教科書検定に介入できない」といって、何の行動も起こそうとはしません。しかし、教科書検定に介入したのは、ほかならぬ政府・文部科学省でなかったでしょうか。

 そのことを、疑問の余地なく証拠をつきつけて認めさせたのが、沖縄選出の日本共産党衆院議員である赤嶺政賢議員の十一日の予算委員会の質問であります。赤嶺議員は、文部科学省の「原議書」という動かぬ証拠をつきつけました。

 ここには、文部科学省の常勤職員である教科書検定調査官が個人の意見をつけたことが明らかです。しかも、この「原議書」には、担当職員の判もおされている。担当の局長を含む七人の文部科学省の職員の決裁の判が押されている「文部科学省ぐるみ」の恣意(しい)的な検定意見です。そして、「学術的・専門的な検討を経て」といって教科書審議会にかけました。

 審議会では、文部科学省の調査官がつけた意見に対して、誰からも意見がだされなかった。「沖縄戦の歴史の専門家がいるのか」と赤嶺議員がただしたら、「誰もいません」と政府は認めざるをえませんでした。

 政府・文科省の「自作自演」による「政治介入」によって教科書が書きかえられたというのは、みなさん、明々白々な事実ではないでしょうか。

 県民大会で発言した高校生は、「うそを真実といわないでください」「醜くとも真実を知りたい。学びたい。そして伝えたい」と述べました。

 歴史の真実から目をそむけてはならないと思います。赤嶺議員は質問の最後で、こう追及しました。

 「教科書検定意見の撤回を求める、記述の回復を求めるのは、政治の介入ではありません。真実を回復してくれという、やむにやまれぬ沖縄県民の要求です。そういう要求を聞き入れない文科省が勝手につくった、その検定意見に固執することこそ、政治的な介入であります。政治的介入は文科省こそやっているのではないか」

 議場はしーんと静まり返りました。道理と大義は、われわれの側にあります。力をあわせて(教科書検定意見の)撤回と記述の回復を実現するまで、みなさんとご一緒に全力でたたかいぬく決意を表明して、ごあいさつといたします。ともにがんばりましょう。



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