2007年10月16日(火)「しんぶん赤旗」

日雇い派遣 実態は労務供給

労政審部会 労働者委員が批判


 厚労省の労働政策審議会労働力需給制度部会(部会長・清家篤慶應義塾大学教授)が十五日開かれ、「日雇い派遣」の実態と法規制の現状について議論しました。

 報告した厚労省は、派遣労働は雇用主と使用者が違うという「構造的な雇用の不安定さ」を抱えているため、派遣元により重い雇用の安定を求めているとのべました。

 不要な短期契約を繰り返してはならない努力義務があるものの、派遣契約期間に下限の規制がないため、日雇い派遣も可能になっていると報告。当日になって使用者側の都合で仕事がキャンセルされた場合、休業手当の支払いや新たな就業機会の確保が使用者側に求められているが、十分に機能しているかが問われているとのべました。

 労働者委員は、「そもそも教育訓練を受けた労働者を派遣するのが原則なのに、日雇い派遣は教育訓練もなく単なる労務供給になっている」と批判し、規制が必要になっていると主張しました。

 使用者側は、「通訳などでも日雇い派遣があるので雇用が不安定とはいえない」と専門業務の例を持ち出して、「ニーズがある」とのべました。

 公益委員からは、ドイツでは派遣は「常用型」になっているので派遣元に雇用の安定を求めているが、日本では登録型も認めているので、そういう発想がないとの指摘が出されました。

 この日の部会ではまた、医師不足対策の一環として、へき地以外の病院への医師の派遣を解禁する派遣法施行令の改正案を了承しました。

 医師、調剤、保健指導などの医療関連業務は現在、へき地の病院などをのぞいて派遣労働が禁止されています。今回の施行令改正では、「地域医療の確保のため都道府県(医療対策協議会)が必要と認めた病院等」について派遣を認めます。派遣先、派遣元ともに医療機関に限定しています。

 労働者委員は「医師確保を派遣でやろうとするのはおかしい」とのべ、使用者委員も「派遣は抜本策ではない」と指摘しました。



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