2007年10月17日(水)「しんぶん赤旗」

アフガン作戦 イラク攻撃 海上阻止活動

米軍の3任務は一体

小池議員の追及 参院予算委


 給油支援は罪のないアフガニスタン住民を殺りくする米軍の空爆支援―。日本共産党の小池晃議員が十六日の参院予算委員会で明らかにしたのは、給油を続けてもテロはなくせない実態です。


写真

(写真)パネルを示して福田首相に質問する小池晃議員=16日、参院予算委

報復戦争で治安悪化

 「暴力事件は前年比20%増、昨年は百二十三件だった自爆攻撃は、今年は現在までですでに百件を超えている…」

 小池氏の求めに応じて高村正彦外相が読み上げた、アフガンの治安情勢に関する国連事務総長報告の一節(別項)です。情勢の泥沼化は政府も認めざるをえませんでした。

 小池氏は、六年前にパキスタンのアフガン国境近くで、空爆で傷つけられた女性や子どもたちに接した経験をあげ、「あれから六年。テロはなくなるどころか、世界中に拡散している。六年間の事実が示しているのは、戦争ではテロはなくならないということではないか」と迫りました。

 福田康夫首相は、「タリバン時代に抑圧されていた女性が今は活躍していることは評価していい」と“反論”しました。これには「関係ない。テロはどうなった」と議場からヤジが。

 小池氏は「今はそのタリバンがアフガンの半分を実効支配している」と指摘。これには何の反論もありませんでした。

写真高く掲げ

 「アフガン空爆を行っている米軍に対して、日本は当初は給油していたが、今は行っていない」。高村外相は他党の質問でこれまでこう繰り返してきました。しかし小池氏がこの弁明を覆しました。

 昨年九月に、海上自衛隊の補給艦「ましゅう」が米強襲揚陸艦イオウジマに給油をしています。

 石破茂防衛相は、昨年九月四日と二十二日に給油したことに加え、この間にイオウジマ艦載機のハリアー垂直離着陸攻撃機がアフガンに対して百三十六回も攻撃飛行していると答えました。

 二〇〇一年の対アフガン戦争から数年後の今なお、海上自衛隊が空爆支援を継続していることを政府が認めたものとして、重大な答弁です。

 さらに小池氏は今年二月のアラビア海上の空母アイゼンハワーの写真パネルを示しました。同空母から攻撃機が飛び立ち、その周辺では海自の補給艦「とわだ」が米ミサイル巡洋艦アンツィオに給油しています。

 与党議員もパネルを食い入るように見つめ、配布した資料を何度もめくる議員の姿も見られました。

【今年9月の国連事務総長報告「アフガニスタンの情勢と国際の平和と安全保障にとってのその意味」から 2007年の治安情勢】
○反政府勢力とテロリストの暴力は少なくとも06年より20%増大
○1カ月平均548件の事件を記録(06年は月平均425件)
○現在までで100件以上の自爆攻撃(06年は年間で123件)
○全自爆攻撃の76%は外国軍とアフガン治安部隊が標的だが、犠牲者の大部分は民間人(8月までに143人の民間人が自爆攻撃の犠牲に)

給油目的限定できず

 「ましゅう」が給油したイオウジマが行ったのはアフガン空爆だけではありません。

 小池氏は、イオウジマがアフガン空爆、イラク攻撃、海上阻止活動を含む海上安全作戦(MSO)の三つを一体の任務として行っている事実を指摘。「海上自衛隊が行った給油の使用目的をどうやって海上阻止活動だけに限定するのか。限定などできるわけがない」と追及しました。

 石破氏は「米国とは交換公文を結び、現地での確認もしている」と述べ、高村氏は「給油活動継続の新法では、海上阻止活動への支援に限定している」と繰り返しました。「限定」を保障する具体的な裏づけは何も示すことができませんでした。

人道支援切り替えを

 小池氏は、アフガンで井戸を掘り、水路をつくって支援活動を続けている「ペシャワール会」の中村哲医師が、「『殺しながら助ける』支援がありうるのか」「特措法延長で日本が米国同盟軍とみなされれば反日感情に火がつき、私たちの活動も危険にさらされる」と述べていることを紹介しました。

 そして「憲法九条をもつ日本が、報復戦争の支援を続けることは許されない。日本共産党は、テロ特措法延長にも、新法にも反対する。自衛隊はインド洋からもイラクからも撤退し、アフガン国民の立場に立った人道支援に切り替えをすべきだ」と主張しました。



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