2007年10月18日(木)「しんぶん赤旗」

「大企業・大資産家への7兆円の減税」の内容は?


 〈問い〉 10月4日の国会の代表質問で、志位委員長が、「大企業と大資産家には合計7兆円規模の減税」が行われてきたと指摘していましたが、その内容を教えてください。(長野県・一読者)

 〈答え〉 志位委員長が指摘したのは、97年以降に行われた大企業や大資産家に対する減税です。

 まず、大企業向けには、97年度までは37・5%だった法人税の税率が、98年度には34・5%、99年度には30%に引き下げられました。あわせて、地方税である法人事業税の税率も、97年度までの12%から、98年度には11%、99年度には9・6%と引き下げられました。

 この結果、法人住民税も含めた法人3税を総合した税率(実効税率といいます)は、約50%から約40%に下がりました。これによる現時点での減税効果は、中小企業への減税分を除いて大企業だけで計算すれば、年間4兆円と推計できます。

 このほか、02年度には連結納税制度が導入されました。これは、赤字の子会社を抱えている場合などに、親会社の黒字と相殺して税金を減らせるようにするものです。また、03年度には研究開発減税が拡充されました。研究費の10%前後の額を、法人税から差し引くもので、大企業には大きな減税になります。これらの減税をあわせると、1兆円を超えています。

 大資産家向けには、99年度に所得税・住民税の最高税率が引き下げられました(所得税は50%から37%へ、住民税は15%から13%へ)。

 この税率引き下げによる減税効果は約5千億円です。03年度には、株式の配当や譲渡益への課税をわずか10%に抑えるという証券優遇税制が導入されました。これによる減税が1兆円規模になっています。さらに相続税の最高税率引き下げや、不動産取引にかかわる登録免許税などの減税(いずれも03年度)が5千億円規模で、合計で2兆円になります。

 志位委員長が質問で指摘したように、97年度当時に比べると、06年度の大企業の経常利益は2・2倍にも増えているのに、納税額はほとんど増えていません。株主への配当金は3・9倍にも増えているのに、これに対する課税は10%に減税されています。このような減税を見直せば、社会保障などに必要な財源を数兆円規模で生み出すことができます。(垣)

 〔2007・10・18(木)〕


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