2007年10月20日(土)「しんぶん赤旗」
仏全土で30万人デモ
年金保険料 納付期間の延長反対
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【パリ=山田芳進】サルコジ政権が進めようとする年金制度改革案に反対してフランスでは十八日、公共交通機関を中心にストが決行されました。全国で約三十万人(労働総同盟=CGT発表、警察発表約十五万人)が「年金保険料納付期間の延長反対」などの要求を掲げてデモ行進しました。
政府が目指す年金改定案の柱は、フランス国鉄(SNCF)、パリ市交通公団(RATP)、フランス電気・ガス公社(EDF・GDF)などの労働者の年金納付期間を二〇一二年までに三十七・五年から四十年にしようというもの。これに対し、該当する職種の労働組合は「三十七・五年の維持」とともに「公務員、民間ともに三十七・五年の納付期間の実現を(一九九三年までは全職種で三十七・五年間)」などの要求を掲げてストに参加。参加状況は、EDF・GDFで80%、SNCFで75%、RATPで70%と高率でした。
パリでは、当日のデモを呼びかけた各労働組合の代表を先頭に、約二万五千人がレピュブリック広場を出発し、ナシオン広場まで発煙筒、音楽、歌などでにぎやかに行進しました。
沿道にある美容室の若い男性店主は、国鉄労働者などの掲げる要求は知らなかったとし、「四十年は確かに長いと思うし、不満があれば要求すればいいが、公務員は働きたくないだけさ」。
組合員ではないがデモに参加したという国鉄の電車整備士ブノワさん(28)は「おれたちが優遇されてるだって? 毎日九時間、十時間油まみれになって働いて、月給は千三百ユーロ(約二十一万五千円)だ。大変な仕事じゃないと思うなら、現場を見に来ればいい。うちの職場のスト参加率は百パーセントだよ」と言います。
労働者側の抗議行動に対しベルトラン労働相は同日、週明けに労働側代表との対話を約束しました。しかし年金改革案は「成功させなくてはならない」との姿勢を示しました。
CGTのティボー書記長は「現段階の政府案は通らないことが明らかになったはずだ」と強調。もし政府がかたくなな姿勢を続けるなら「次の段階の行動」を取ると示唆しました。
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