2007年10月21日(日)「しんぶん赤旗」
基地周辺 相次ぐ米兵犯罪
“いつか起きると思ってた”
夜が怖い 娘の帰り心配
米兵による許せない痛ましい事件はなぜ続く―。米海兵隊岩国基地の海兵隊員四人による女性暴行事件。広島市と岩国市の街を歩きました。(遠藤寿人)
広島
広島で一番の歓楽街広島市中区流川・薬研堀地区。米海兵隊岩国基地から電車で四十分の距離にあります。その場末(銀山町)に、海兵隊員が女性と知り合ったイベントハウスがあります。
二十日、午前零時三十分。事件の影響からか店は開店しませんでした。近所の人によると、もともとキャバレーだった店が、七、八年前から「貸しディスコ屋」になり週末の深夜、若者でいっぱいになります。
事件のあった十三日深夜からダンスイベントが開かれ、アルコールも販売されていました。
道路にへたり込み、商店のシャッターや壁をはたく、落書きをする…。らんちき騒ぎには苦情が再三出ていました。
近所の男性は「警察に訴えても被害がないと取り締まってくれない。事件の日は、兵隊が多かった」と振り返ります。
タクシー運転手は「週末の深夜、広島駅から二十人ぐらい米兵がおりて来る。キャーキャー騒いでたちが悪い。いつかこんなことが起きると思っていた」と話します。
岩国
「これが軍隊の本質だ」「艦載機が増強されると不安」。住民投票で艦載機移転に「ノー」を突きつけてきた山口県岩国市では、市民が不安的中に怒りをあらわにしています。
二十五歳の娘の母(50)は「懸念されたことが起きた。娘の帰りが遅いと心配だ。安心や安全はお金では買えないこと、当たり前の暮らしが基地によって脅かされていることを訴えたい」といいます。
米兵について行く女の子が悪いという意見にも「米兵犯罪は、被害者が申告しないと取り上げられない。相手がだれだろうと悪いことは悪いとしないと問題の本質が見えてこない」と憤ります。
移転
基地を囲む三角州「川下地域」。かつては米兵相手の店でにぎわった飲み屋街もいまや米兵を受け入れる店は四軒ほど。
艦載機移転を受け入れると、米軍関係者が新たに四千人増えるといわれています。
基地ゲート前で建設業を営む女性は「週末の夜は怖い。米兵同士がビール瓶で殴りあうのを見たことがある。今回も女性が届け出たので発覚したが、泣き寝入りしている人がたくさんいる」。
危険
岩国平和委員会事務局長の吉岡光則さん(61)は「横須賀市で米兵による女性殺害事件が起きたので、岩国でもいつかあると感じていた。米軍に対する日本政府の姿勢が問題だ。即刻、日本の警察が基地の中に入って捜査すべき事件だ」といいます。
米兵の犯罪を許さない岩国市民の会代表の大川清さん(49)は「こういう事件が起きるたびに綱紀粛正がいわれるが事件がなくなることはない。彼らは基地のなかで人助けの訓練をしているわけではない。戦争のための訓練をしている。基地の内と外で急に心が変わるわけはなく、基地がある限り、危険に脅かされながら暮らしていかなければいけない。移転で米兵や戦闘機が増えることは、こういう事件・事故に巻き込まれる危険性が大きくなる」と語りました。
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