2007年10月23日(火)「しんぶん赤旗」
発表翌日に誤り認識
海自 偽り情報で国会答弁
給油量
国会追及のさなか隠ぺい
防衛省は海自補給艦の米空母キティホークへの給油量問題で報告書を提出しましたが、訂正の経過を見ると、防衛省・自衛隊の国会無視、情報隠ぺい体質が浮かび上がってきます。
防衛省が国会に提出した報告書は、二〇〇三年五月八日に給油量が「八十万ガロン」なのに「二十万ガロン」と発表した翌日の九日、担当者が「誤りに気づいた」のに、上司に報告しなかったとしています。その理由として、イラク戦争への燃料転用問題が「沈静化しつつあった」と判断したからだと指摘しています。
その結果、同十五日の参院外交防衛委員会で石破茂防衛庁長官(当時)が日本共産党の小泉親司議員(同)の質問に対し、給油量を「二十万ガロン」と答えたのは虚偽答弁だったことが確定しました。議会制民主主義の根幹にかかわる重大問題です。
しかも、給油問題は「沈静化」どころか、国政の重要問題となっていました。小泉氏が五月七日、十五日に質問したほか、他党議員も衆参で質問。同十六日には衆院安保委員会で赤嶺政賢議員が取り上げています。本紙をはじめ、複数のマスコミも特集を組んでいました。
当時、政府・与党は米側の要請を受けてイラクへの自衛隊派兵の検討を始めていました。その時期にイラク戦争への脱法的支援が明らかになれば、派兵の障害になるのは明らかでした。防衛省・自衛隊ぐるみの情報の改ざん・隠ぺいがなかったのか。徹底的な検証が必要です。
防衛省が、「給油量訂正問題」と併せて提出した資料の一つにある、「テロ特措法に係る協力支援活動実績」という表も重大です。
市民団体ピースデポの指摘で明らかになった事実以外、すべて黒塗りです。防衛省は、外部から事実を突きつけられない限り、みずから進んで情報を開示しないと宣言したようなものです。(竹下岳)
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