2007年10月24日(水)「しんぶん赤旗」
日米地位協定とは、どんなものですか?
〈問い〉 日米地位協定とはどんなものですか?(静岡・一読者)
〈答え〉 日本には、広大な米軍基地が居座っています。その口実とされているのが日米安保条約第6条で、米軍が日本の「施設及び区域を使用する」と定めています。日米地位協定はこの第6条に基づくもので、1960年6月に安保条約とともに国会承認が強行されました。
協定は全部で28条。内容は日本に駐留する米軍への基地(施設・区域)の提供とともに、米軍・米兵にさまざまな特権を保障し、日本の国家主権、国民の人権を侵害するものです。
安保条約第6条は、日本全国で米軍が望むところはどこでも基地にできるという、世界に例のない「全土基地方式」をとっています。基地の提供問題などに関し地位協定は、日米合同委員会という組織で協議することを定めています(第2条)が、その内容は国民には明らかにされません。
協定第3条では、米軍が「(基地の)設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」とし、排他的な使用権を認めています。日本の主権は事実上及びません。米軍が基地を自由勝手に使い、日本国民にさまざまな被害を与えている大きな要因です。
加えて基地の外でも、民間の空港や港湾、道路を自由に使用する口実になっている規定(第5条)などが設けられています。空港や港、高速道路の使用料は無料です(同条)。
経済的な特権でいえば、物品税や揮発油税など数々の免税措置も規定(第12条など)しています。基地の提供費(地代など)も、日本側が負担(第24条)。しかも米軍が日本に駐留するための維持経費は米側が負担すると同条で定めているのに、これに反して年2千億円を超える「思いやり」予算まで日本側が支払っています。
米兵にはとりわけ、裁判権で治外法権的な特権が認められています。米兵が「公務執行中」に起こした事件・事故については、米軍に「第1次裁判権」があるとされます(第17条)。日本国民が被害者であっても日本側が裁くことはできません。「公務中」かどうかを判断するのも米側とされています。
さらに「公務外」で米兵が犯罪をおかした場合でも、容疑者の身柄が米側にある場合(たとえば基地の中にいる場合)には、日本側が起訴をするまで身柄は米側にそのまま置かれることになり、日本側が逮捕・拘束することはできません(同条)。(孝)
〔2007・10・24(水)〕