2007年10月25日(木)「しんぶん赤旗」

「正社員希望3割」厚労省はいうが…


 厚生労働省が最近、「非正規の労働者にアンケートをやると、正社員になりたいというのは三割、今のままでいいというのが五割」(十日、衆院予算委員会での舛添要一厚労相の答弁)などという数字をあげ、労働者が非正規雇用を望んでいるかのような言い方をしています。

 いったいどんなアンケートなのか。厚労省に尋ねたところ、今年六―七月に実施した「日雇い派遣労働者の実態に関する調査」を根拠にしていると述べました。同調査は、契約期間が一カ月未満の短期派遣で働く人が対象。派遣元事業主を通じて調査票を配布し、回収しました。「今後はどのような形態で働きたいか」との問いに、45・7%が「現在のままでよい」、29・6%が「正社員」と答えています。

 しかし、これは他の仕事を持ちながら「収入の足しにするため」に短期派遣で働く人の回答も含めてならした数字です。二十五―三十四歳の男性に限れば「正社員希望」が五割台、「今のままでよい」は三割台と逆転します。また、「正社員として就職できないため」短期派遣で働いている男性では、「正社員希望」が69・7%にのぼり、「今のままでよい」は21・2%にとどまっています。

 内閣府が事業主を介さずに労働者を直接調査した「多様な働き方に関する意識調査」(二〇〇六年)では、非正規で働く二十代男性の85%が「十年後までに正社員として働きたい」と答えています。政府もこの間、非正規雇用の若者が増えている主な要因は、働く側の意識ではなく企業の側にあることを認めてきました。

 日雇い派遣など非正規雇用の深刻な実態の解決が、政治の焦点課題となっているいま、わざわざ表面的な数字を持ち出して労働者が非正規を望んでいるかのように描くのでは、政府・厚労省の認識が問われます。(坂)



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