2007年10月25日(木)「しんぶん赤旗」
「大企業は消費税の実質負担ゼロ」ってどういうこと?
〈問い〉 9月18日付の「主張」に、「消費税は、税額を価格にすべて転嫁できる大企業には、実質負担がゼロの税金です」とありましたが、どのような仕組みになっているのか、教えてください。また、消費税がどのように使われているのかについても、あわせて教えてください。(新潟市 一読者)
〈答え〉 消費税は、商品やサービスを購入するときに、その代金に5%を上乗せして払う仕組みですから、基本的には、商品などを購入する消費者が負担することになります。ただ、小さな商店などは、大手スーパーなどとの価格競争の結果、「お客さんから消費税をもらえない」という場合もあります。また、下請け企業の場合には、納入先から単価切り下げを求められて、消費税分を自己負担してしまう場合もあります。
こうした中小零細の企業と違って、競争力のある大企業の場合は、基本的に販売する商品にすべて消費税を上乗せできます。お客から受け取った消費税を納税するだけですから、自らの負担はゼロなのです。
もちろん、大企業でも商品やサービスを購入する場合には、消費税を上乗せして払います。しかし、企業が購入する商品やサービスは、その企業が行う事業に関する「仕入れ」とみなされます。消費税は「販売した商品やサービスにかかった消費税」と「仕入れにかかった消費税」の差額を計算して、その差額を税務署に納税する仕組みになっているので、「仕入れ」の際に払った消費税は、お客から集めた消費税の一部と相殺することになり、大企業自身の負担にはならないのです。
消費税を何に使うのかは、法律では決められていませんから、何にでも使えます。政府は、予算の文書には「年金・老人医療・介護に使う」などと書いていますが、実際には違います。そのことは、消費税導入後も、社会保障予算は充実するどころか、制度改悪の連続だったことでも明らかです。消費税が導入されてからの19年間で、消費税の合計額は188兆円にもなりますが、その間に企業が納める法人税などの税収は160兆円も減ってしまいました。消費税のほとんどが、この穴埋めに消えてしまったのです。
最近、経団連の御手洗会長は、「消費税を上げて企業に減税を」と要求しています。自分たちには1円の負担にもならない消費税を上げ、それを財源にして大企業に減税を要求する。こんな国民いじめを許すわけにはいきません。(垣)
〔2007・10・25(木)〕