2007年10月27日(土)「しんぶん赤旗」
遺棄化学兵器処理で強制捜査企業
処分後も特約で事業継続
吉井議員が国の責任追及
建設コンサルタント大手「パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)」(東京都多摩市)の元幹部らが、国から受注した中国の遺棄化学兵器処理事業で約一億数千万円を不正流用したとして東京地検特捜部の強制捜査を受けている問題で、不正発覚で国の指名停止処分をうけた〇四年度以降も、同じ企業グループの別の会社から再委託を受ける形で事業を続けていることが二十六日、分かりました。日本共産党の吉井英勝衆院議員が衆院内閣委員会で取り上げたもの。
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同事業の委託契約書では、業務を再委託する場合は内閣府の承諾を得なければならないとの条項がありますが、PCIを含む共同企業体に限っては承認がいらないとの特約をつけていました。PCIは政府開発援助(ODA)をめぐっても不正経理を繰り返していた問題企業。特別扱いしてきた国の発注者としての責任が問われます。
PCIに事業を再委託していたのは、PCIのグループ会社「遺棄化学兵器処理機構」(港区)。PCIと同様、「パシフィックコンサルタンツグループ」の構成企業です。同機構は〇四年度から三年間、処理事業総合管理業務など八件、約二百三十億円を随意契約で受注。このうち三件二百十六億円分の業務をPCIを含む共同企業体に再委託。そのなかで二十五億円の差額を得ていました。
一方、PCIは、ODA事業での不正経理が発覚し、〇六年三月までの間に外務省、国際協力機構(JICA)などから計十八カ月間の指名停止処分をうけています。このためPCIは同じグループ会社の同処理機構の下請けに入る形で事業を継続していました。
処理事業は総額一千億円をこえるという大規模事業。〇四年度以降の処理事業八件は、すべて同機構が受注していますが、いずれも随意契約で、予定価格が設定されておらず、PCIに有利な内容となっています。
吉井議員は、「だれが見ても問題企業との間の異常な契約。国の責任は明確であり徹底的に解明すべきだ。戦後処理をめぐっての不正があれば国際的な信頼を失う事態だ」と指摘しました。
PCIをめぐっては、同機構から委託された二億円の事業を、さらに別のグループ会社、PPM(パシフィックプログラムマネジメント)に再委託。このなかで一億数千万円を流用した疑いがもたれています。
岸田文雄内閣府特命担当大臣は「特定の民間企業に依存していることが不信の原因。よく調査し、必要なら執行体制も見直す」と答弁しました。
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