2007年10月29日(月)「しんぶん赤旗」

国民の声が政治を動かす新しい情勢が生まれている

10・28国民大集会 志位委員長のあいさつ


 全国からお集まりのみなさん、こんにちは。日本共産党を代表して心からの熱い連帯のあいさつを送ります。(拍手)

 参議院選挙で国民が下した「自公政治ノー」の審判は、日本の政治に新しい局面を開きました。小泉・安倍政権の時代には、国民の声を無視し、国会での“数の暴力”で悪法をごり押しする、問答無用の政治が繰り返されました。しかし、福田政権は、ポーズだけでも、国民に「平身低頭」しませんと政治が成り立たない。いま国民の声、国民のたたかいが政治を動かす新しい情勢が生まれているということを、まず私は強調したいと思います。(拍手)

あらゆる分野で、たたかいを豊かに発展させよう

 たとえば、沖縄戦の歴史をゆがめる教科書改ざんにたいして、島ぐるみのたたかいがわきおこりました。そうしますと政府は、これまでのような門前払いのような態度はもはやとれません。首相は、「県民の思いを重く受け止める」といわざるを得ません。手直しに動かざるを得なくなっています。ただ、この問題は、中途半端な決着は許されません。ことを起こしたのは政府・文部科学省なのですから、政府の責任において解決させるまで、沖縄と連帯してがんばりぬこうではありませんか。(拍手)

 来年四月に実施が迫る後期高齢者医療制度にたいして、国民的な怒りが、いま噴きあがっています。七十五歳以上のお年寄りを、国保や健保から脱退させ、特別の制度に入れて、負担増と給付減に追い立てる。あまりにひどいお年寄りいじめに怒りが噴出しますと、政府は苦し紛れに、負担増の一時的・部分的凍結を打ち出しました。選挙目当ての取り繕いですが、これは制度の破綻(はたん)を認めたものではないでしょうか(拍手)。ならば、一時的・部分的凍結ではなくて、制度そのものの撤回を強く求めていこうではありませんか。(拍手)

 障害者自立支援法についても、「抜本的見直し」を国民に約束した以上は、諸悪の根源――一割応益負担を撤回させようではありませんか。(拍手)

 最低賃金は、九月におこなわれた改定で、全国平均で時給十四円の引き上げとなり、これまでの八年間は、ゼロ円、せいぜい五円という一けた台の引き上げだったのが、二けた台のアップとなりました。労働者のたたかいによって、一歩動かしたことに、大いに自信を持ちながら、時給千円以上、全国一律の制度をめざして、抜本的前進をかちとろうではありませんか。(拍手)

 被災者支援法では、ついに与党も、国民の長年の切望だった住宅本体の再建への公的支援に踏み込む法案を提出しました。原爆症の認定基準の問題でも、実態に合わない従来の認定基準の見直しを、とうとう政府が言明しました。これらの長年の国民の切望も、今後のたたかいによってしっかり実っていくように、お互いに力をあわせてがんばりぬきたいと思います。(拍手)

 みなさん、国民の声、国民のたたかいで、政治が動く。ここに確信を持ち、あらゆる分野で、暮らし、平和、民主主義を守るたたかいを、豊かに発展させていこうではありませんか。(拍手)

国民を脅しつけ消費税増税をおしつけるたくらみを拒否しよう

 同時に、みなさん、私が訴えたいのは、国民の要求をおおもとから実現するためには、自民党政治の古い枠組みを根本から転換することが、どうしても必要だということです。

 たとえば、暮らしのどんな要求でも、それを本気で実現しようとすれば、財源の問題とぶつかります。ところが財源といえば、消費税の増税しか目に入らないというのが、政府と財界の姿勢です。

 最近、経済財政諮問会議に、日本経団連の御手洗会長など「民間議員」と呼ばれる四氏が、二〇二五年には、消費税率を最大で17%にまで引き上げる必要があるなどという、とんでもない「試算」を出しました。しかし、これは本当にでたらめな代物です。なにしろ、歳出削減の対象とされているのは社会保障費だけで、軍事費などは毎年伸びていく仕掛けになっています。そして、増税の対象とされているのは消費税など庶民課税だけで、大企業の課税はまったく外に置かれております。みなさん、こういう二重に国民をあざむく仕掛けで、国民を脅しつけ、消費税の増税を押し付けようなどという、卑劣きわまるたくらみは、きっぱり拒否しようではありませんか。(拍手)

財源問題――大企業減税、巨額の軍事費にメスを入れよ

 まともな目で見れば、消費税に頼らなくても、暮らしを支える財源は、いくらでも出てきます。

 第一は、大企業と大資産家へのゆきすぎた減税にメスを入れることであります。この九年間に大企業の経常利益は十五兆円から三十三兆円に、二・二倍にも膨れ上がりました。空前のもうけです。しかし大企業が払っている法人税は横ばいで、ほとんど増えていない。五兆円もの大企業減税をやってきた結果です。さらに、株取引などで、ぬれ手で粟(あわ)のぼろもうけをしている大資産家にたいして、二兆円もの減税をおこなった。大企業、大資産家は、もうけにふさわしい税金を払え(「そうだ」の声、拍手)。この声をみんなで上げていこうではありませんか。(拍手)

 第二は、年間五兆円の軍事費にメスを入れることです。防衛庁の守屋前次官が、軍需企業からゴルフの接待を受け、防衛行政をねじ曲げてきた疑惑が大問題になっています。これは、氷山の一角です。軍需大企業十五社から自民党への献金は、年間一億九千万円。そして十五社への契約額は、年間約九千億円です。軍需大企業が、献金の見返りに、軍事費の大幅増額を迫り、利権をむさぼる。軍需大企業をめぐる政・軍・財の癒着にメスを入れよという声をあげようではありませんか(拍手)。軍事費を削って、福祉に回せ、ここでも政治の転換を求めていこうではありませんか。(拍手)

戦争でテロはなくせない、憲法違反の派兵は中止せよ

 新テロ特措法案をめぐるたたかいが重大な焦点となっています。

 この問題では真剣に吟味が求められていることが二つあります。

 一つは、報復戦争でテロがなくなったか。答えは「ノー」であることは、アフガニスタンの深刻な情勢悪化が証明しています。

 もう一つは、海上自衛隊の活動が、日本国憲法に照らして許されるかという問題です。これも答えは「ノー」です。自衛隊が米軍に提供した油は、アフガニスタン戦争に使われ、さらにテロ特措法にも違反してイラク戦争に使われ、この油は、無辜(むこ)のお年寄り、女性、子どもを空爆で殺害するために使われているのであります。これを戦争行為の一部といわずして、何というのでしょうか(拍手)。憲法違反であることは、明々白々ではないでしょうか。(拍手)

 私は、この点で、民主党の小沢代表が、「民主党が政権を取ったら、ISAF(アフガニスタン国際治安支援部隊)に自衛隊を参加させたい」と述べたことは、重大だと思います。ISAFは、国連安保理決議でつくられた部隊ですが、NATO軍の指揮の下におかれ、いまでは米軍と一体になって戦争をやっているのです。そういう地上部隊です。

 国連決議があろうとなかろうと、海外での武力の行使は憲法違反であって、許されない(拍手)。海上自衛隊も許されない、陸上自衛隊も許されない。この立場をしっかり堅持してがんばりぬこうではありませんか。(拍手)

 現在のテロ特措法の期限は、あと四日で切れます。海上自衛隊は、すごすごとインド洋から撤退せざるを得なくなりました(拍手)。国民の声は、巨大な軍事機構をも動かした。ここに確信をもって、もう二度とインド洋への海上自衛隊を出すことはまかりならんという声を広げに広げる、新たなたたかいにのぞもうではありませんか。(拍手)

自民党政治を根本から転換してこそ、要求実現の大道が開かれる

 大企業中心、アメリカいいなりという自民党政治の根本を転換してこそ、暮らしでも、平和でも、国民の要求をおおもとから実現する大道が開けます。

 日本共産党は、このことを国民に訴えぬき、来るべき総選挙では、国民だれもがほんとうに希望をもって暮らせる日本をつくるために、平和な日本をつくるために、必ず前進を勝ち取る決意であります。(拍手)

 直面する熱い問題でも、政治をおおもとから変えるうえでも、今日ここに集った国民各分野のみなさんのたたかいと、日本共産党はがっちりスクラムを組み、手を携えて、がんばりぬく決意をのべて、連帯のあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)


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