2007年11月5日(月)「しんぶん赤旗」
小沢代表 会見
「安保政策の重大転換」とは
国連の名で米軍の戦争へ
小沢一郎・民主党代表が記者会見で明らかにした「安全保障政策についての重大な政策転換」なるものの中身は重大です。
9条踏み破る
小沢氏は、そのポイントとして(1)自衛隊の海外派兵は国連安保理または総会の決議によって認められた活動に限る、したがって特定の国の軍事作戦についてはわが国は支援しない(2)連立が成立するならば新テロ特措法案の成立にはこだわらない―と説明しました。
この言い分だけをみれば、なし崩しの解釈改憲による自衛隊派兵に歯止めをかけるかのように聞こえますが、実際はまるで逆です。国連の決議さえあれば、海外での武力行使まで可能にすることで憲法九条を真っ向から踏み破ろうとするものです。そのために、政府の判断次第でいつでも自衛隊の海外派兵を可能にする恒久派兵法の制定まで含意されています。
実際、小沢氏が自由党時代にまとめた「安全保障基本法案」では国連安保理や国連の要請などを条件として、「武力の行使を伴う活動」への「積極的な協力」を明記。その際は、「国際的な基準」に沿って活動するとも明記し、一連の派兵立法では禁じられている武力の行使や、「戦闘地域」での活動まで可能にしているのです。
最近でも、小沢氏は『世界』十一月号の論文で、「国連の活動に積極的に参加することは、たとえそれが結果的に武力の行使を含むものであっても、何ら憲法に抵触しない」との考えを表明。アフガニスタンで米軍と一体で掃討作戦まで行っているISAF(国際治安支援部隊)についても「私が政権を取って外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したい」とのべました。
憲法は国権の発動としての戦争はもちろん、国際紛争解決のための手段として、「武力による威嚇又は武力の行使」も禁じており、小沢氏の特異な解釈が憲法の平和原則を踏みにじることは明らかです。
民主の責任も
また、「特定の国の軍事作戦は支援しない」といいますが、一九九一年の湾岸戦争も国連決議をもとに米軍が多国籍軍を結成して実行したもの。アフガンで展開するISAFも、実態は米軍の指揮官のもと、「不朽の自由作戦」を行う米軍部隊と事実上一体になって軍事作戦を展開しています。小沢氏の議論は、国連決議という冠さえあれば、正面きって米軍とともに武力行使に踏み込むことになる危険きわまりない議論なのです。
こうした重大な「政策転換」を、もし密室で合意したとなれば、そのこと自体が福田政権にとっても存続が問われる重大な問題であり、民主党もその共同責任を免れないことになります。