2007年11月6日(火)「しんぶん赤旗」
“戦争支援でない”というが
政府の弁明総崩れ
共産党の追及で浮き彫り
インド洋から海上自衛隊が撤退した今、再びアメリカによる「対テロ報復戦争」の支援を繰り返すのかどうかが問われる新テロ特措法案―。衆院テロ特別委員会の審議のなかで、日本共産党の追及により、“報復戦争支援ではない”という政府・与党の弁明が総崩れとなっています。
空爆米艦の支援も
報復戦争の六年間は何をもたらしたのか。日本共産党は論戦を通じて、この問題を最も重視しました。
アフガニスタンでは、空爆を含む米軍主導のテロ掃討作戦が繰り広げられ、自爆テロが激増。町村信孝官房長官も「(アフガン国内で)非戦闘地域を明確に示すのが難しい」(十月三十一日)という事態です。アフガン民衆を殺りくしている報復戦争は、テロ根絶どころか、「テロの拡散」をひきおこしているのです。
報復戦争を支援してきたのが、海自の給油活動でした。
すでに政府は、日本共産党の小池晃議員の追及に、艦載機がアフガンを空爆していた米強襲揚陸艦イオウジマに海自が給油していたことを認めています。(十月十六日の参院予算委員会)
しかも、インド洋に展開している米軍は、イラク作戦、空爆を含むアフガン作戦、海上阻止活動の三作戦を一体となって実施しています。
赤嶺政賢議員は「イラク戦争のような大規模空爆を行っている艦船でも給油できるのか」と追及しました。町村官房長官は、給油相手が海上阻止活動の任務にあたっていれば、「それ以外の目的を同時にやっていたとしても問題ない」と明確に答弁(十月三十一日)。新法案も、空爆を含む報復戦争を軍事支援するものに変わりないことを認めました。
それでも派兵固執
アフガンでは今、新たな動きが始まっています。
日本共産党は、アフガンのカルザイ政権自身が、タリバンを含む武装勢力との政治的交渉による和平を追求する「平和と和解のプロセス」に踏み出していることを示し、こうした動きを支援する外交的努力への切り替えを求めてきました。
笠井亮議員の求めに対し、外務省の奥田紀宏中東アフリカ局長も、「平和と和解のプロセス」が進んでいることを認め、「前向きな動き」と評価(一日)。福田康夫首相も、こうした動きについて「重要だ」と述べざるをえませんでした(十月三十日)。
政治的交渉による和平を目指す動きを台無しにしているのが、報復戦争です。しかし、高村正彦外相は一日、「力の行使も必要だ」と述べ、軍事支援に固執する考えを示しています。「アフガンの現実よりアメリカを優先する」(笠井氏)という政府の姿勢が浮き彫りになった形です。
与党は、衆院テロ特別委員会で、七日にも採決する日程を提案するなど、戦争支援にしがみつく態度を示しています。(田中一郎)