2007年11月7日(水)「しんぶん赤旗」

参考人質疑 秘密会に

衆院テロ特決定 赤嶺議員が反対


 衆院テロ特別委員会は六日、寺岡正善・元海上幕僚監部防衛部防衛課長にたいする参考人質疑を七日に秘密会として実施することを自民・公明・民主の賛成で決めました。

 これに先立つ同委員会理事会で日本共産党の赤嶺政賢議員は、国会の委員会質疑は国民の前で公開によっておこなうべきものだと主張し、秘密会とすることに反対を表明。委員会では社民党とともに反対しました。

 寺岡氏は、五日午前に予定されていた同委員会の参考人招致については、家族の生活への影響を理由に出席を拒否しましたが、七日の委員会については秘密会とすることで出席に応じる意向を示していました。

 二〇〇三年二月に海上自衛隊の補給艦から米軍空母に間接給油された燃料がイラク戦争に利用された可能性がある問題で同氏は給油量が誤って過少に報告されていたことを知りながら、当時の防衛庁の内局や上司にこの事実を隠していました。

きょう採決を与党側が提案

 衆院テロ特別委員会の理事会で六日、与党側は七日の同委員会で新テロ特措法案の締めくくり総括質疑と採決を行う日程を提案しました。野党側は「審議は尽くされていない」と反対し、引き続き協議することになりました。

 理事会では、日本共産党の赤嶺政賢議員が採決日程に強く反対し、給油量隠ぺい問題で関係者の証人喚問など徹底解明が求められていると指摘。新法案でもイラク作戦、アフガン作戦など戦争支援が可能となっている問題や、戦争でテロがなくせないことが明らかになるなかで、アフガニスタン和平への政治的解決のプロセス探求など、議論すべき課題は山積していることを強調しました。


解説

議員傍聴も禁止の異常

 衆院テロ特別委員会が七日に実施する寺岡正善・元海上幕僚監部防衛部防衛課長にたいする参考人質疑は、「秘密会」として、しかも委員以外の議員の傍聴まで禁止して開かれます。

 憲法は「両議院の会議は、公開とする」と規定(第五七条)。本会議を秘密会にする場合は三分の二以上の賛成が必要です。

 両院の委員会について国会法は、委員長の許可による傍聴や報道取材を認めており、またインターネットで審議が中継されているなど、実質的に公開されています。過半数の賛成があれば秘密会とすることも可能ですが、「禁止しないのが例である」(『衆議院委員会先例集』)とされている議員の傍聴まで禁止するのはきわめて異例です。

 これまで委員会の「秘密会」は、不逮捕特権をもつ国会議員の「逮捕許諾請求」を認めるかどうかなど、議員の身分にかかわる対応を協議したり、外交上公開できない事情がある場合などに限って例外的に開かれてきました。本会議の秘密会は、現憲法下においては一度も開かれていません。

 寺岡氏は、退職後は「私人」であり、「公の場に出ることは家族らの生活に多大な影響を及ぼす」(テロ特委員長あて上申書)ことを公開質疑への出席拒否の理由にあげています。しかし、寺岡氏が問われているのは、海上自衛隊が米軍に補給した燃料がイラク戦争に使われたのではないかという重大な疑惑にかかわる問題であり、同氏の在職当時の職責にかかわることです。同氏自身、給油量の誤りを知りながら、「私の安易な判断」(同上申書)で報告しなかったことを認めています。

 従来のテロ特措法のもとでの海自の活動実態の解明は、新テロ特措法案の審議に不可欠のものであり、これを国民の前で明らかにすることは当然の道理です。(林 信誠)


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