2007年11月7日(水)「しんぶん赤旗」
核無能力化を開始
計画申告も近く実施へ
北朝鮮で米チーム
【ワシントン=山崎伸治】米国務省のケーシー副報道官は五日の定例会見で、北朝鮮入りした米専門家チームが同国の寧辺にある核施設を「無能力化」するための作業を開始したことを明らかにしました。核計画の申告も近く開始する見通し。無能力化と申告は、六カ国協議の合意に基づく北朝鮮非核化の第二段階にあたります。
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ケーシー氏は、専門家チームが「原子炉(5メガワット級実験用黒鉛減速炉)と再処理施設、核燃料製造工場の三施設の無能力化を完了するまで現地にとどまる」と説明しました。
米専門家チームとともに北朝鮮入りしていたソン・キム国務省朝鮮部長は六日、平壌から北京を経て韓国入り。同部長は仁川空港で記者団に対し、「寧辺の三施設に対する無能力化作業が始まった。良いスタートを切った」と述べた上で、年内の作業完了に期待を示しました。
作業は原子炉の燃料棒抜き取りや主要部品の撤去など十一の工程からなるとされます。完了すれば約一年は稼働できない状態になり、核兵器の原料となるプルトニウムの生産は当面、不可能になります。
核計画の申告については、米首席代表のヒル次官補(東アジア・太平洋担当)が「向こう一、二週間内」に行われるとの見通しを示しています。
ケーシー副報道官は、北朝鮮側から「リスト」をまだ受け取っていないと発言。「できるだけ早く申告を見たいし、申告が完全なものかどうか検証できるようにしたい」と述べました。
二月の六カ国協議の合意で、北朝鮮は無能力化と申告履行の見返りとして、重油九十五万トン相当のエネルギー支援を受け取ることになっています。十月の六カ国協議「エネルギー支援作業部会」の協議で、重油四十五万トンについて毎月五万トンずつ提供するほか、重油五十万トン相当を発電所の補修資材の供給などの形で行うことが決まっています。
今後、六カ国協議では第三段階の完全な核放棄に向けたロードマップ策定作業を行うことになります。
第二段階措置の履行過程で浮上しているのが、北朝鮮によるシリアへの核技術協力疑惑です。北朝鮮は十月三日の六カ国協議合意で「核物質、技術及びノウハウを移転しない」との約束を再確認しています。ヒル氏は二日、「北朝鮮が核拡散をしないと担保することが六カ国協議の課題になっている」と指摘しました。
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