2007年11月7日(水)「しんぶん赤旗」
国連の「友好関係宣言」とは?
〈問い〉 9月21日付の「主張」に、国連が復仇(ふっきゅう)行為を禁止した「友好関係宣言」という言葉がでていました。これは、どんなもので、なぜ、国連がそんな決議をしたのか、を知りたいのですが。(千葉・一読者)
〈答え〉 「友好関係宣言」は、国連総会が「国際法の一般原則」として1970年10月にコンセンサス(投票なしの全会一致)で採択したものです。国際関係を律する原則として国連憲章に含まれる七つの原則を発展させたもので、(1)武力行使の禁止、(2)紛争の平和的解決、(3)内政不干渉、(4)各国の相互協力、(5)人民の同権と自決、(6)各国の主権平等、(7)国際法上の義務の誠実な履行――の七つを規定しています。
この宣言が採択された70年ごろには、アジアやアフリカで第2次世界大戦後に独立を果たして国連にあらたに加盟する国が国連加盟国の過半数を大きく超えるようになりました。これらの国は「非同盟諸国運動」に結集して、国際関係のいっそうの民主化を求めました。こうした国際状況を背景にしながら国連創設25周年を記念して、国際法の一般原則の現代的な発展と法典化をめざして採択されたのがこの宣言です。「宣言」は、その後、国連決議や国際司法裁判所判決などの国際文書で国際関係の規範としてひんぱんに引用されるようになり、国際関係を律するもっとも重要な文書の一つとなっています。
「友好関係宣言」は、武力行使の禁止の一環として、「武力行使をともなう復仇行為」を明文で禁止しています。「復仇」とは、相手国の国際法違反の行為にたいして、その中止や原状回復を求めて実力を行使することで、普通にいう報復のことです。国連憲章はそもそも武力の行使を一般的に禁止していますが、「宣言」は武力による報復を重ねて明確に禁止したわけです。
2001年10月7日、アメリカは同時多発テロにたいする報復戦争としてアフガニスタン戦争を開始しました。日本共産党はそれに先立って各国首脳に書簡(9月17日付)を出し、その中で、報復戦争は、「いっそうのテロ行為と武力報復の悪循環」をもたらし「事態を泥沼に導く」ことを指摘して、軍事力による報復ではなく、テロ容疑者を国際社会全体の包囲によって追い詰めて「法にもとづく裁き」の支配下に置くことを主張しました。アフガニスタンでの事態のいっそうの泥沼化によって、この指摘の正しさは誰の目にも明らかになっています。(小)
〔2007・11・7(水)〕