2007年11月9日(金)「しんぶん赤旗」

被災者生活再建支援法改正案

仁比議員の賛成討論(大要)

参院災特委


 参院災害対策特別委員会で八日、日本共産党の仁比聡平議員が行った被災者生活再建支援法改正案に対する賛成討論は次の通りです。


 阪神・淡路大震災では、家計と地域経済を支えていた多くの中堅層が住宅再建のための二重ローンに苦しみ、再建ができなかった被災者は住み慣れない土地の復興住宅に住むことを強いられました。震災から十二年たった現在でも、誰にもみとられずひっそりと亡くなる孤独死が後を絶ちません。生活再建が果たせず被災直後の援護資金の返済が、いまなお精神的な負担となって生活再建の足かせとなっています。

 阪神・淡路大震災を教訓に、二〇〇〇年十月の鳥取県西部地震では、鳥取県がいち早く住宅再建に支援金を支給し、被災者の生活再建を支援しました。

 被災者生活再建支援法は〇四年の改正で「居住安定支援制度」が創設されましたが、肝心要の住宅本体の再建費用は支援対象から除外されました。改正の直後から相次いだ豪雨・台風や大規模地震、火山災害など全国の被災地で、特に住宅再建支援をめぐり、制度の不備を指摘する声が被災者のみならず被災自治体からも相次ぎました。同時に、被災者の生活を一刻も早く再建することが、地域の維持・再建にとって不可欠であることも明らかになってきました。

 被災地からは、超党派の努力で、一日も早く住宅本体への支援を実現してほしいという切実な声が寄せられ、こうした声にこたえて、この間、民主党、私ども日本共産党、社会民主党の野党三党共同による改正案を、一度ならず提案してきたのです。

 今回の見直しにあたり与党の側からも、支援の対象を実質、住宅本体に拡大する提案がなされたことで、ようやく与野党の足並みがそろうこととなったものであり、全会派共同による提出にふさわしいものです。

 自民、公明、民主三党提出の改正案は、実質的に被災住宅の再建に支援金を活用できることとしているほか、被災世帯の年収と世帯主の年齢要件を撤廃し、煩雑(はんざつ)な制度を改め使い勝手を高めていること、また、今年発生した災害のうち、本制度が適用されている能登半島地震や新潟県中越沖地震などに適用するなど、これまでの被災者と被災地の願いを受け止める内容とされていることについて、率直に評価し、歓迎するものです。

 そのうえで、残された以下の事項について引き続き検討し、さらなる見直しをおこなうことで被災者生活再建支援制度を真に実効あるものにすることが必要と考えます。

 第一に、住宅の補修にかかる被災者の経済的負担を軽減することが不可欠であり、支援被災世帯の範囲を半壊世帯にまで拡大することです。また、生業あっての生活であり、被災住宅に店舗兼住宅をはじめ個人事業所や個人商店を含めることです。

 第二は、支給限度額を引き上げることです。住宅の公共性、地域社会再建への貢献などを考えれば、被災者の住宅をはじめとした生活再建への支援は国の責任でおこなうべきものであり、「見舞金」の枠を超えた支援が必要です。実際に住宅再建に要する経費からいっても求められています。

 第三は、被害認定のあり方の見直しです。改正案によっても、全壊または大規模半壊に認定されるかどうかで明確に支援の有無が区別されることになります。ひとりでも多くの被災者を支援の対象とするうえでも、地盤や浸水被害を正確に反映した認定基準とすること、専門家による的確な認定作業とそのための体制の確保が不可欠となります。そのほか、法適用災害の規模要件の緩和など、実際の災害への運用のなかで生じた課題をふまえ、制度を適宜、見直すことがどうしても必要です。

 日本共産党は、見直しにあたっては被災者と被災地の実態を直視し、現に支援を求めている被災者を支援の対象とするとともに、被災者が一番必要としている支援策を最優先に実現すること、被災者が使い勝手のいいものとすること、大多数の被災者が活用できるものとすること、居住を含めた生活再建に足る支援金額とすることが不可欠と考えてまいりました。今後とも被災者の方々と力をあわせ努力することを申し上げ、賛成の討論とします。


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