2007年11月10日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党 国会議員団総会での
志位委員長のあいさつ(大要)
日本共産党の志位和夫委員長が九日、国会議員団総会でおこなったあいさつ(大要)は以下のとおりです。
新テロ特措法案――廃案へ決意新たにたたかいを
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みなさん、連日の奮闘、ご苦労さまです。本日、政府・与党は、三十五日間の国会会期の延長を強行しようとしています。この会期延長は、新テロ特措法案を何がなんでも成立させるための延長であり、わが党は、悪法を成立させるための会期延長には、もちろん断固反対であります。その立場に堂々とたって本会議に臨みますし、そして延長が強行されたとしても、この悪法を廃案に追い込むために、最後まで力をつくして頑張りぬく決意をここで固めあいたいと思います。(拍手)
自民・民主の党首会談――「二大政党」の正体見えた
この間、二回にわたって自民・民主両党の党首会談が、密室談合協議という形でおこなわれました。そのあと民主党の小沢代表が突然辞意を表明し、それを撤回する出来事もありました。この全体が何を示したかについて、のべておきたいと思います。
私は、一言でいって、「二大政党」なるものの正体がはっきり見えたというのが、今度の騒動だったと思います。
路線と体質において両党は同質の党
私たちは、「二大政党づくり」の動きについて、民主党は小沢代表になって以来、「対決戦術」をさかんにやってきたわけですが、そのもとでも国政の基本問題では自民・民主が同じ路線にたっているという批判をしてきました。この批判が、まさに的を射た批判であったことが、当事者たちの行動によって明らかになった。つまり、「二大政党」といいますが、国政の基本問題で、自民・民主は同質の党――同じ路線・体質をもった党だということが絵に描いたように示されたのが、この間の一連の事態でした。
大連立がいつでも繰り返される下地が存在
とくに大連立――自民・民主の両党で連立政権をつくろうという合意が、いったんは両党党首間で交わされた。この事実はたいへん重いものがあります。今回は、民主党側の事情で頓挫するという格好になっていますけれども、いったんこういう合意を結んだという事実は、消すことはできないのです。
しかも、頓挫したあとも、自民党側からは、福田首相が「話し合いはつづけていく」と言明するなど、大連立の「ラブコール」「大合唱」が繰り返されています。他方の民主党側はどうかというと、小沢代表が、辞意を撤回する会見をおこない、当面は大連立を封印するような発言もしましたが、あの会見のなかでも、福田首相との党首会談で大連立の合意を交わしたことについて、それ自体が誤りだった、それ自体が民意に背く間違いだったと、もう二度とこうした動きはしないという反省の弁は、一言ものべられませんでした。反省がないのですから、この大連立への動きは、今後もいつでも繰り返される下地が存在するということになります。いつまたそれが再燃し、浮上してくるかわからない。これが「二大政党」なるものの実態だということが天下に明らかになりました。
憲法破りの海外派兵の恒久法での合意
しかも、大連立問題の両党の合意の一番の核心部分はどこにあったかというと、自衛隊を海外に派兵するための恒久法づくりをいっしょに進めましょうということにありました。自民党がいう恒久法と、民主党がいう恒久法とは中身には少し違いもあります。自民党のほうは、国連の決定がある場合でも、それがない場合でも、海外派兵ができるような恒久法を考えている。民主党の小沢代表の案は、国連の決定があった場合という条件がついていますが、活動の中身は海外での武力の行使もおこなうとはっきり明記したもので、憲法を破壊するうえでは、より深刻な問題点をもっています。
そういう違いはありますけれど、個々の紛争にたいする特措法という時限立法という形ではなくて、世界のどこにでも、政府の判断で海外への派兵ができる恒久法をつくろうという点では、両者は一致したわけです。
この一致については、双方とも否定していません。この合意はいまでも生きているわけです。憲法を踏みにじった海外派兵の恒久法づくりという合意で、一気に大連立の合意までいったわけです。これは、憲法という大問題で、両党の関係がまさに同質の関係であることを示しています。
そしてあの党首会談では、この憲法破りの海外派兵の恒久法で一致したら、他の政策を話し合った形跡がないんですね。暮らしの切実な問題などもたくさんあるはずなのに、話し合った形跡がない。そういう問題は、わざわざ話し合わなくても、福田首相の言葉を借りれば「あうんの呼吸」で一致するということなのでしょう。何の政策合意もないままに、大連立の合意までいってしまったわけです。
大本からの改革めざす日本共産党のがんばりどころ
大連立というのは、国民との関係でいえば、何よりも国民の審判を裏切る、民意に背く行為を、両党がすすめるものにほかなりません。
自民党の側でいえば、参院選でああいう厳しい審判を受けたら、これまでやってきたことを反省して、政策を転換するというのが当たり前の政治なのに、それをやらずに、間違った道に固執するために、「数集め」の大連立に走る。これは邪道の政治です。民主党の側でいえば、「反自公」といって選挙をたたかっておいて、大連立に走るのは、文字どおり国民を裏切る行為です。
国民の民意に背く行為を両党がやった。いまは、いったん頓挫しているけれども、双方ともに反省がない。いつでも繰り返される下地がある。いつでも両党は政権をともにすることができる、平気で連立政権をつくれる同質の党であることが示されたのが、ことのてん末であります。
「二大政党」なるもののこういう現状のもとで、アメリカいいなり、大企業中心、この自民党政治の害悪を大本から変えようという本当の改革の党、日本共産党のがんばりどころの情勢だということに、大いに確信をもって、新たなたたかいにのぞみたいと思います。(拍手)
新テロ特措法案を廃案に――正論の力、国民運動の力に依拠して
さて、新テロ特別措置法案が、延長国会での最大の焦点になってきます。私たちは、「二大政党」の実態について、いまのべてきたような認識をもっておりますが、もちろん国会でのさまざまな一致点での協力関係を否定するものではありません。同時に、いまいったような関係に「二大政党」があるという実態をよく見て、私たちは今後のたたかいにのぞむ必要があります。この法案をめぐっても、今後、国会での展開が、どんな様相となってくるかは予断を持っていえません。
そういうもとで、私たちが何に依拠してたたかうか。正論の力に依拠してたたかう、国民運動の力に依拠してたたかう、この二つにしっかり依拠してたたかうことが大事になってくることを強調したいのであります。
憲法違反の“報復戦争支援法”――この本質は変わらない
わが党議員団の追及によって、この法案をめぐって三つの問題点が浮き彫りになってきました。
第一は、この法案は“報復戦争支援法”だという本質です。政府は、「新法案では、給油は海上阻止活動に限るのだ」と説明していますけれども、わが党が追及しますと、結局、米軍の活動は、三つの作戦が一体にやられている――アフガニスタン作戦、イラク作戦、海上安全活動、この三つの活動が一体にやられているということは、認めざるをえなくなりました。そして、わが党が追及しますと、「複数の任務をもっている艦船への給油もできる」と答えました。
そういうことになりますと、「海上阻止活動に限る」といっても、アフガニスタンへの空爆にも使われることになりますし、イラク戦争にも使われる可能性も否定できません。憲法違反の“報復戦争支援法”という本質は変わらないということが、この間の論戦で明らかになったことです。これは引き続き徹底的に追及していかなければなりません。
“テロ根絶逆行法”――テロをなくす道理ある道を示して
第二に、“テロ根絶逆行法”という問題です。9・11同時多発テロにたいして、報復戦争という形で対応したことは誤りだったということは、この六年間が証明しました。テロに報復戦争で対応するという道は、完全にゆきづまった。
そのもとでアフガニスタンではいま、カルザイ政権が、戦争によってタリバンとたたかっていくという道から転換して、「アルカイダの一部ではなく、テロリスト・ネットワークの一部ではないタリバンと和平の交渉をおこなう」という方針を打ち出しています。そして、アフガニスタン議会は、この和平のプロセスをすすめるうえでは、外国軍による軍事行動、軍事作戦は中止してほしいという決議を採択しています。爆弾を落としながら、和平の話し合いをおこなうなどということはできない相談ですから。そういう方向にアフガンは動いているわけですから、そういう現状にてらしてみても、いま本気でテロをなくそう、アフガンの状況を安定させようと考えたら、和平と平和のプロセスを後押しする外交努力こそ、いま日本に一番求められていることです。
わが党は、こうした積極的提言を国会論戦でおこなってきました。このことをわが党がただしますと、首相も「和平のプロセス自体は賛成だ」というんですね。ところが、「戦争も必要だ」というのです。これは、まったく矛盾した立場だといわなければなりません。戦争しながら和平というのは、できない相談であります。「和平のプロセスに賛成だ」というなら、戦争はやめさせるべきだし、戦争支援もやめるべきであります。この点は、引き続き追及していく中心点であります。
政府は、アメリカいいなりで自分で考えることをしません。ですから、アフガニスタンの情勢がどうなっていようと、現実にテロがどう広がろうとそんなことはお構いなしなんですね。アメリカいいなりに、ただ軍隊を出そうというものに対して、本当の意味でアフガニスタンの安定を考え、本当にテロをなくそうというまっとうな提案を示している党は日本共産党です。ここにも自信をもって堂々とたたかいぬきたいと思います。(拍手)
転用疑惑、隠ぺい疑惑、防衛利権疑惑の徹底究明を
第三に、報復戦争支援法を担う組織、部隊が疑惑まみれだということです。
イラク作戦への転用疑惑、隠ぺい疑惑、防衛利権疑惑――この三つの疑惑が大問題になっています。昨日(八日)は守屋前次官のパートナーだった人が逮捕され、司直の手がとうとう入り始めました。
法律も守らないような組織、法律をやぶったときにひた隠しに隠すような組織、軍需大企業と癒着して利権をむさぼろうというような組織。そういう組織に、およそ世界の平和だの、国際貢献だのを語る資格はさらさらありません。この問題も徹底的な追及が必要だと思います。
とりわけ軍需産業と政治、自衛隊との癒着の問題は、徹底した究明が必要です。わが党の追及によって、守屋疑惑に政治家――元防衛庁長官が関与していたことも明らかになっています。
これらの点をしっかりおさえて、正論の力で廃案においこんでいく。そして何よりも国民運動としっかり連携して廃案においこんでいく。そういう構えで、延長国会をがんばりぬきたいと思います。
延長国会で真価発揮し、総選挙勝利の道開こう
「二大政党」の正体が見えた。それとの対比で、アメリカいいなりと、大企業中心主義という悪政の根源をただそうという立場にたってこそ、そういう政治姿勢にたってこそ、国民の願いは実現できるということが、どんな問題でも見えやすくなっています。そうした立場に確固として立つ政党として、延長国会で党の真価を発揮した奮闘をおこない、総選挙の勝利への道を開こうではありませんか。(拍手)