2007年11月16日(金)「しんぶん赤旗」
政治のいまと日本共産党
「ニュースの深層」で 市田書記局長語る
日本共産党の市田忠義書記局長は十四日、朝日ニュースター「ニュースの深層」に出演し、政治の現状をどうみるか、日本共産党の政策などについて約五十分にわたり語りました。司会は評論家の宮崎哲弥氏とジャーナリストの堤未果さん。
「大連立」騒動
二大政党制の正体見たり
福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表による「大連立」騒動をめぐって、宮崎氏は「国民の選択肢を奪うもので、連立与党の議席占有率は93%になる」と指摘しました。
市田氏は「二大政党制の正体見たりという感じ。民主党がアメリカいいなり、大企業の利益第一の自民党政治と同じ路線の上にいることを示した」と答えました。
民主党との共同について市田氏は、国民のためになる政策の実現なら可能性を追求すると表明。今国会で成立した被災者生活再建支援法では、これまで住宅本体への公的資金の投入を拒否してきた政府が、世論に押されて、これを認めたことを「一歩前進」と評価し賛成したと紹介しました。また、障害者自立支援法の見直し・撤回など国会の開かれた場での議論を通じた共闘には積極的に取り組むとしました。
民主党をどうみる
示されない政治の対抗軸
民主党をどうみるかが話題になり、市田氏は、「政治の中身を変えないで政権さえ取ればいいという考えが民主党の中にある。しかし、国民は自民党の政治に変わる新しい政治を求めている。民主党は政治の対抗軸を示していない」と述べました。
さらに、民主党が憲法問題では改憲の立場、消費税でももともと増税論の立場、アメリカとの関係でもなかなか「いいなり」から抜け出せない現状を指摘。「今度の恒久法問題でも、これは事実上の自民党と民主党の合意。いちいち特措法をつくらなくても、いつでもどこでも自衛隊を海外に派兵できるようにするもの」と批判しました。
アメリカとの関係
間違った「思いやり」正す
「共産党が政権に参加する場合、アメリカとの関係はどうなるのか」との問いに市田氏は、「アメリカとの関係は、戦前は敵対、戦後は異常な国家的従属の関係」と指摘。「これを対等平等の普通の関係、つきあいにする。そのために日米友好条約を結ぼうといっている」と述べました。
日米安保条約の第一〇条では、締約国のどちらか一方の政府の意思で条約を廃棄できるとし、基地を一つなくすにはアメリカの合意が必要だが、全部の基地をなくすには安保廃棄を通告する政府をつくれば可能になると説明しました。
堤さんは「安保をなくすと日本が無防備になるという不安もある」と質問しました。
市田氏は、「国連加盟の百九十二カ国のうち百三十四カ国(オブザーバー含む)が非同盟で、世界人口の七割を超える人がそこに住んでいる」こと、かつての軍事同盟もなくなっているか、効力を失っていることを紹介。「何でもアメリカについていくことの方が(世界からの)孤立だ」と述べました。
つづけて市田氏は、「安保廃棄まで何もしないというのではなく『中間項』はさまざまある」と指摘。アメリカの領土であるグアムへの米軍基地建設に七千億円、米軍再編のために三兆円の日本の税金が使われようとしている事実を告発し、やめるべきだと主張しました。
関連して市田氏が「思いやり予算」の実態の一例として、在日米軍将校の住宅には四つの寝室と三つの風呂があると紹介しながら、「なぜ三つ風呂が必要か」という共産党の質問に対し当時の担当大臣が「体格が大きいから」と答えた話をすると、二人の司会者からは「そんなばかな」と驚きの声があがりました。
市田氏は「思いやる方向が間違っている。こんなお金があるのなら、まじめに生きている人、お年寄りや障害者の方に回すべきだ。これは政治的立場の違いを超え、安保賛成の人でも、これはひどすぎると思う人はいる」と述べました。二人の司会者もうなずき、宮崎氏は「こういう問題を共産党はきちんと主張されている」と指摘しました。
雇用問題
日雇い派遣禁止すべきだ
話題は雇用の問題に。宮崎氏は「格差問題の元凶は、非正規労働者やワーキングプアの問題」として「共産党は登録型派遣の廃止を掲げ、一貫してサービス残業の廃止を主張している」と述べました。
市田氏は、サービス残業問題で、勇気ある現場労働者の告発と結んで二百八十回以上の国会質問で追及し、厚生労働省にサービス残業根絶の通達を出させ、これまでに八百数十億円の未払い残業代を支払わせたことを紹介しました。
市田氏は、登録型派遣、日雇い派遣の実態について「どこに派遣されるかもまったくわからず、いつ仕事がまわってくるかもわからない。派遣会社の意のままに、まったくの無権利状態に置かれている」と指摘し、「このような登録型派遣、日雇い派遣は法律で禁止するべきだ」と主張しました。
さらに、市田氏が、一年以上働いた派遣労働者は希望があれば派遣先が正規雇用にする義務を負うようにするべきだと主張すると、宮崎氏は「こんなに労働者の権利が奪われている国はない。労働問題は共産主義運動の原点。共産党への期待が大きい」と述べました。
市民運動との関係
現在の連携ますます強く
市民運動との連携について問われ市田氏は、「現に連携しているし、ますます強めたい」と表明。「九条の会」の草の根の組織が七千近くになっていることや、宗教者、経営者、ジャーナリストなどさまざまな分野の「九条の会」ができていることを紹介しました。
最後に市田氏は、「解散の時期はわからないが、国会論戦を通じて解散に追い込んでいく」「年内解散になってもたたかえるよう、十一月中には候補者を決める方向。今度こそ前進を勝ち取れるようにがんばります」と述べました。