2007年11月24日(土)「しんぶん赤旗」
米議会 戦費で攻防
民主、政権揺さぶる構え
【ワシントン=山崎伸治】イラク、アフガニスタンの戦費を盛り込んだ二〇〇八会計年度(〇七年十月―〇八年九月)追加予算をめぐって、ブッシュ政権と議会民主党がにらみ合いを続けています。〇八年十二月までに米軍戦闘部隊をイラクから撤退させることを盛り込んだ民主党提出の法案は、上院で行き詰まったものの、民主党側は政権側を揺さぶる構えです。
同法案はブッシュ政権の要求する総額千九百六十四億ドル(約二十一兆三千億円)の追加予算のうち、五百億ドルを米軍部隊の撤退を条件に認めるというもの。下院では可決されましたが、上院では共和党の賛成が得られず、可決されていません。
国防総省のモレル報道官は二十日の記者会見で、追加予算(同省分は千七百八十億ドル)が早急に認められなければ「戦費を各軍の予算から手当てせざるを得ない。そうなると陸軍は二月初めに、海兵隊は三月初めに予算がなくなる」と警告。ゲーツ国防長官は両軍の基地閉鎖の準備を指示しました。
これに対して、軍事予算編成に大きな力を持つ民主党のオビー下院歳出委員長とマーサ同委員会軍事小委員長は、同日すぐ記者会見し、「下院は五百億ドルの『つなぎ予算』を可決している。大統領が上院の共和党リーダーに電話をして『妨害するのをやめよ』と言えばよい」と皮肉を込めて反論しました。
さらに民主党は二十四日、大統領に対抗して行うラジオ演説にイラク米軍のサンチェス元司令官を登場させ、民主党案への支持を表明させる予定。これで政権側に攻勢をかける構えです。
感謝祭の休会が終わる十二月四日から下院は再開しますが、米メディアによると民主党側は新たな提案はしないもよう。一方、上院では民主党のリード院内総務が「妥協案」を探っているとも伝えられています。
反戦運動の間には、戦闘部隊だけを撤退させるという現在の民主党案でも、数万人の米軍部隊が長期に駐留を続けることになると懸念する声もあります。
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