2007年11月24日(土)「しんぶん赤旗」

アスベスト

全被害者補償求める

国際会議開幕 加害責任ただす


 すべてのアスベスト被害者・家族に公正・平等な補償を求める「国際アスベスト会議」が二十三日、二日間の日程で横浜市で始まりました。二〇〇五年夏のクボタ事件を発端に工場周辺住民にまで被害が広がっていることがわかった日本におけるアスベスト被害の補償・救済制度の欠陥と政府の怠慢を指摘する報告があいつぎました。

 同会議は、政府や企業に被害補償を迫り、一九八七年に結成された石綿対策全国連絡会議の結成二十周年記念行事として開催されたもので、海外の参加者含め約三百人が活発に討論しました。

 兵庫県尼崎市のクボタ工場周辺住民のアスベスト被害調査結果を報告した大阪府立公衆衛生研究所の熊谷信二博士は住民被害が明らかになるきっかけは、市民団体が工場周辺住民の情報を集めて企業交渉したことだったと指摘。「厚生労働省は労災認定をつうじて、クボタでの被害多発を知っていた。労災認定情報を(当初から)公表することで、もっと早く住民に(危険が)伝わり被害を少なくできた。情報公開の重要性を強調したい」と語りました。

 早稲田大学の村山武彦教授は、東京都内で開かれた国際がん会議(一九六六年)などで、作業者や工場周辺住民にアスベストによる中皮腫発症例が報告されていたことを紹介。加害責任をあいまいにしたままでの「救済金」の現行制度が、海外でおこなわれている賠償額よりも低くなっていることが妥当か「議論を深めるべきだ」と見直しを訴えました。

 アジアや欧米各国の海外代表が、被害者・家族の補償・医療などの実情を報告。日本ではアスベスト被害救済制度にさまざまな格差があり、すべての被害救済になっていないことが改めて浮き彫りになりました。

 同日夜、開かれた結成二十周年記念の集いには、日本共産党の吉井英勝衆院議員と、民主、社民両党議員が出席し、あいさつしました。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp