2007年11月25日(日)「しんぶん赤旗」

民青同盟第33回全国大会での

市田書記局長のあいさつ

(要旨)


 日本民主青年同盟第三十三回大会に日本共産党の市田忠義書記局長が二十四日、出席し、あいさつをかねた講演をしました。要旨は次のとおりです。


写真

(写真)来賓のあいさつをする市田忠義書記局長=24日、東京都渋谷区

 市田さんは、「かつて民青同盟員として平和と民主主義の実現に若き情熱を燃やした者の一人として第三十三回大会の成功を期待します」と表明しました。民青同盟の発足時からの要求、運動の特徴を振り返りながら「今日、青年をとりまく政治と社会はどうなっているか。それを変えるために、みなさんたち民青同盟の存在と役割がどんなに大きいか一緒に考えてみたい」と問いかけ、話をすすめました。

自公政治ノーと大連立どう見る

 市田さんは、七月の参院選の結果をどうみるかについて話しました。

 選挙結果は、自公政権が歴史的な敗北を喫しました。世論調査からも明らかなように国民の新しい政治への模索のあらわれでした。国民は、自公が参院で過半数を割った状態でどんな政治がおこなわれるかかたずをのんで見守っていました。そこにおきたのが自民・民主の突然の党首会談と「大連立」話、小沢代表の唐突な辞意表明と一転しての辞意撤回でした。

 俳優の東ちづるさんが“民主党に有権者が期待したのは、自民党にお灸(きゅう)をすえ、政権交代を望むなど今の政治へのきびしい批判だったはずで、大連立はそんな民意を裏切る構想である”(東京新聞二十二日付)と指摘したように国民の怒りをかいました。しかもこの動きは参院選の直後から始まり、最初から小沢氏がかかわっていました。民主党は小沢氏の党首続行を頼み込むにあたり自民党との「大連立」をすすめないことを条件にはせず、無条件で留任させました。

 市田さんは、こうした事実を指摘し「今回のドタバタは、憲法、自衛隊海外派兵など国の基本方向では、自民も民主もまったく同じ政党だということが明らかになった。しかも福田首相の言明からもこれからもこうした『大連立』が起こりうることを示しています。日本共産党は、自公の悪政と真っ向から対決し参院選で示された国民の審判を生かし、政治を変えるために全力で頑張ります」と表明しました。

日本政治の異常 変革の展望は…

 市田さんは、次に「自公政治がどこまでゆきづまったか、どこをどう変えれば未来がひらけるか」を考えたいと話をすすめました。

 日本の政治、自公の政治をみると世界にはない、特別に異常な現実が浮かび上がります。

 第一の異常は、世界第二の経済力を持つ国であるのに多くの国民・青年にとって生きていくことすら大変な貧困と格差が広がっていることです。

 大企業がバブル期の一・八倍の利益をあげる一方、サラリーマンの給与が九年連続減り続け、年収二百万円以下の労働者が一千万人をこえています。最大の原因が労働法制緩和による働くルールの破壊です。人間をもののように扱う戦前の人貸しピンはね業の復活、派遣労働はその一例です。

 市田さんは、青森から愛知に働きにきたが給料が安くネットカフェに寝泊まりしている若者の声を紹介。国会で「少なくとも国の責任で家賃補助、生活資金の貸し付けを直ちにせよ。日雇い派遣は政治の責任でなくすべきだ」と迫ったことをのべました。

 民青同盟を中心にした「ネットカフェ難民調査」がマスコミや政府を動かしていることを高く評価。「相手の思いによりそい、共感しながら対話し『あなたのせいじゃない。一緒に勇気をだして一歩踏み出そう』と心から訴え、実態をつかみ、人間的につながるという連帯・共感できる力を育ててきた。このことが勝ち負けを競わせ、分断の社会をつくろうとしている自民・公明、財界のねらいを打ち破って青年の心をとらえ、政治、社会を動かしている。このことに大いに確信をもとうではありませんか」と激励しました。

 五月二十二日の青年大集会の成功は、全国で青年が労働組合をつくり参加する新しい流れをつくりだしています。「日本共産党は、いまある法律をきちんと守らせるとともに人間らしい働き方のルールをつくることをめざしています。派遣労働の規制、日雇い派遣の禁止、正規・非正規の均等措置、最低賃金の引き上げ、労働時間を法律で規制するなどです。力をあわせたたかいを発展させましょう」と市田さん。

 このあと暮らしに直結する消費税大増税問題について解明しました。政府は「財源がない」「社会保障の財源に消費税増税をあてるのはやむをえない」といっていますが、社会保障や福祉にもっとも反するのが消費税です。

 市田さんは、消費税に頼らなくても財源はあるとして日本共産党の考えを紹介しました。

 一つは、この十年間に大企業・大資産家に七兆円もの「だれが考えても異常、ゆきすぎた減税を元に戻すだけで数兆円規模の財源が生まれます」。二つは、アフガン、イラクへの自衛隊派遣費用は千六百五十億円にのぼり、条約上も支払い義務のない米軍への「思いやり予算」は二十九年間で五兆円も使われていることなどをあげ「この軍事費にメスをいれることです」とのべました。

 第二の異常は、アメリカいいなりの政治です。

 市田さんは、「戦争しない」と誓った憲法九条をもつ日本政府が、なぜアメリカのアフガン戦争やイラク戦争を支援するのか―。学生の憲法擁護集会が一千百人の参加で開かれるなど、憲法守れの運動が歴史的発展をみせていることを踏まえながら、問題の根本に日米安保条約があることを明らかにしました。

 安保条約によってアメリカは日本のどこにでも基地を置くことができます。東京や首都圏に基地があるのはそのためです。アメリカが海外に空母を配備しているのは横須賀のみで、海兵隊が海外に常駐しているのも沖縄と岩国のみです。加えて日本の在日米軍への財政支援は日本四十四・一億ドルでドイツ十五・六億ドル、イタリア三・七億ドルに比べ突出。主要二十七カ国の財政支援のうち52%を占めています。

 市田さんはこうした異常さを告発し、「アメリカいいなり政治の原因はここにある。首根っこを日米安保条約で抑えられているからです。イラクやアフガンでのアメリカの戦争に、日本政府が、何でも賛成の態度をとったことはその典型です」と指摘しました。

 しかし、戦争でテロはなくせませんでした。アフガニスタンのカルザイ大統領や国連事務総長が「掃討作戦をやめてほしい」「戦争でなく政治的解決による平和を」と提起していることからも明らかです。「これを後押しすることこそ憲法九条をもつ日本が本来すすめるべき真の国際貢献ではないか」とのべました。

 一日にテロ特措法の期限が切れ、インド洋から自衛隊が撤退し、二十三日までに帰国しました。 憲法に違反して海外に派兵された自衛隊の部隊が撤収されるのは初めての歴史的出来事であり、国民の世論と運動による画期的な成果でした。

 市田さんはいいます。 「私は、五年前の民青大会であいさつしたとき『九・一一』同時多発テロにたいし、みなさんが『テロも戦争も許さない』といち早く声をあげ、たちあがったことが強く印象に残っています。それから五年。ついに自衛隊を撤退させることができました。みなさんの運動の発展は日本の前途を明るくてらしだすものと頼もしく感じています」

 アメリカいいなりの土台にある日米安保条約を廃棄しようとの旗を掲げる政党は、日本共産党のみです。国民多数の合意を築けば、安保条約の一〇条に明記されている手続きに従って、安保条約を廃棄し、日本から米軍基地は撤去できます。

 市田さんは、国連加盟国百九十二カ国中百三十四カ国が非同盟国であることを示し「何でもアメリカについていくことは世界から孤立する道です。アメリカいいなりをやめ憲法九条の精神で世界の平和に積極的に力をつくす国づくりを一緒にめざしましょう」とのべました。

綱領楽しく学び生きたちからに

 日本共産党の綱領は国民を苦しめている政治の異常と害悪について明らかにし「国民が主人公」の日本をめざす改革案を示しています。この「綱領の目」で見れば、参院選後の情勢や大連立をめぐる騒動も、青年の切実な願いにてらしてその意味を奥深くからとらえることができます。

 市田さんは「民青同盟のみなさんが、切実な願い実現のとりくみを確固とした展望をもって発展させるためにも、日本と世界の進路を多くの青年と語りあっていくためにも、自分らしい生き方を考えるうえでも、ぜひ日本共産党の綱領を学び、生きた力にしてほしい。綱領を学ぶとりくみを多くの青年とともに、楽しくすすめてほしい」とよびかけました。

民青同盟の前進 時代が求めてる

 青年の状態や要求は切実で、自民党政治がゆきづまり、新しい政治を求める国民の探求と模索がこれほど強まっているときはありません。青年のなかに、強く大きな民青同盟をつくることが、多くの青年の切実な願い実現にとっても、また日本の民主的変革の事業にとっても切実になっていることを強調して、市田さんはこう結びました。

 「青年の要求を実現する運動の発展に力をつくすこと、人間的連帯の立場であたたかい人間関係をつくりあげること、綱領と科学的社会主義を学ぶこと。これらの活動を豊かに発展させつつ、組織づくりで、青年と時代がもとめる民青同盟に前進することを心から願っています」

 「私たちのたたかいは平たんではなく苦労もあります。しかし苦労は必ず実ります。真理と道理があるからです。戦前、先輩のたたかいは非国民として弾圧されました。その主張は戦後、恒久平和・主権在民の憲法になって実りました。真理に立脚している限り、時間はかかってもそれは必ず、世界と日本の公理になります。ここに確信をもてば苦労も楽しくなるのではないでしょうか。ときには道を見誤ることもあります。そのときは励ましあって自分の生き方と社会の進歩・発展を重ねあわせて生きてゆこうと決心した初心を思い起こしましょう。事実と道理を学び、真理の力で困難をはね返し、力強い前進をきずく勇気を持ちましょう。二十一世紀の奥深くまで生きる青年として日本と世界の新しい担い手になってほしい」


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