2007年11月28日(水)「しんぶん赤旗」
税制「改正」の焦点
増税 色濃く
NHK「日曜討論」に見る
消費税増税にいわゆる「サラリーマン増税」…。政府税制調査会(首相の諮問機関)は二十日、庶民にたいして増税色の濃い「答申」を打ち出しました。「税制改正」の焦点を、NHK「日曜討論」(二十五日放送)での各党代表の議論を中心に見てみます。
消費税
政府税調「答申」は、「消費税は、税制における社会保障財源の中核を担うにふさわしい」とした上で、社会保障費を「消費税率を引き上げていくことによってまかなうとの姿勢を明らかにすること」を求めました。
自民党の津島雄二税制調査会長は、「消費税は、社会保障税にはっきり、ばっちりすべきだ」と強調。社会保障財源として消費税を増税していく方向を示しました。
日本共産党の小池晃政策委員長は、社会保障財源と言えば「なぜ、すぐ消費税となるのかが問題だ」と指摘しました。
その上で、低所得者ほど負担の重い消費税でまかなうことは、「負担の求め方として筋違いだ」と政府・与党の姿勢を批判。過去最高の利益を上げる大企業にこそ、「応分の負担、責任を果たしてもらうべきだ」と主張しました。
所得税
政府税調「答申」は、配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除の「見直し」に言及。給与所得控除についても、「今日の経済・社会状況に適合するように再構築すること」を求めました。
これらは、〇五年の総選挙で自民党も「やらない」と公約した、いわゆる「サラリーマン増税」そのものです。さらに「答申」は、公的年金等控除の「適正化」を、求めています。
小池氏は「サラリーマンの給与が九年連続で減少しているときに、ここをねらい撃ちにすることは間違っている」と強調。サラリーマンや高齢者をはじめ多くの世帯が増税になる所得税増税をやめるよう主張しました。
津島氏は、〇八年度税制「改正」で、「個人所得課税のこういう見直しはやるつもりはない」と明言しました。その一方、「税制全体を見直す時期にやるべきだ」とのべ、所得税増税の方向は否定しませんでした。
税収格差是正
政府税調「答申」は、地方税収格差について「その格差の縮小をめざすことが喫緊の課題」との問題意識を示しています。その具体策として、居住地以外の地域への寄付を税額控除する「ふるさと納税」の検討や、地方消費税の「充実確保」を求めました。
津島氏は、地方によって偏りの大きい地方法人二税(法人事業税、法人住民税)の「見直し」を主張。公明党の井上義久税制調査会長は地方法人二税の「見直し」によって「(財政調整のための)もう一つの財布をつくるという形だ」と述べました。
小池氏は、地方間の税収格差の是正について、「大企業減税をただし、生まれた財源を、本来の財政調整機能を最も発揮しうる地方交付税で配分していくことが必要だ」と求めました。
これにたいし、津島氏も「財政調整機能を強化するには、交付税交付金を増やさなければならない」と同調し、「今度は(地方交付税を)増やす方向で検討している」と述べました。
これは、小泉内閣による国と地方の税・財政の「三位一体の改革」で削減された地方交付税の見直しを表明したものです。
道路特定財源
政府は昨年十二月、道路歳出を上回る税収の「一般財源化」などをうたった「道路特定財源の見直しに関する具体策」を閣議決定しました。
政府税調「答申」は、この「具体策」に基づき「国民の理解が得られる改革を進めるべきだ」と求めています。
津島氏は「(特定財源を)すっかりやめるということは適当でない」と主張しました。
小池氏は「道路特定財源は一般財源化すべきだ」と強調。「必要な道路は一般財源でつくるべきだ」と主張しました。日本共産党は、無駄な道路をつくり続ける温床になっている道路特定財源を一般財源化することによって、歳出の無駄をただすことを主張しています。
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