2007年11月30日(金)「しんぶん赤旗」
軍事よりも外交予算を
米国防長官
異例の言明
【ワシントン=山崎伸治】米国は外交や対外援助、経済再建・開発にもっと支出を―ゲーツ米国防長官は二十六日、カンザス州立大学での講演で、軍事力などの「ハードパワー」ではなく、外交や経済支援などの「ソフトパワー」を強化すべきだと述べました。
現職の国防長官が国務省予算の増額を求めるのは異例です。
同長官は、軍事費は引き続き確保するとしつつも、「イラクとアフガニスタンでの戦争で最も重要な教訓は、軍事的な成功だけでは勝利できないということだ」と指摘しました。
ゲーツ氏は米国の軍事費が年間五千億ドルにものぼるのに、国務省予算は三百六十億ドルだと指摘。米国の職業外交官の数は六千六百人で「空母打撃群一個の人員よりも少ない」と述べました。
ソ連崩壊後にCIA(中央情報局)や陸軍の現役部隊を削減したことも間違いだったが、国務省の文化情報局(対外宣伝機関)を廃止し、国際開発協力庁(経済協力機関)を縮小したことは「おそらくそれ以上に先見の明がない」と強調。「米国が他国の人とかかわり、支援し、意思疎通する能力を骨抜きにした」と批判しました。
イラクやアフガニスタンの米軍の役割に触れ、軍隊は「文民や専門性の代わりにはならない」と述べました。
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