2007年12月6日(木)「しんぶん赤旗」

主張

新テロ特措法案

徹底審議し廃案にすべきだ


 新テロ特措法案の実質審議が参議院外交防衛委員会で始まりました。

 日本の油がアフガニスタン国民の無差別殺りくやイラク戦争に使われた疑惑を残したまま、自公の与党が衆院での採決を強行し、政軍財の軍事利権疑惑の解明もこれからです。

 外交防衛委員会の定例審議日は週二回で、会期末の十五日までに残る審議日数は三回です。審議をつくし、新テロ特措法案を廃案に追い込む必要があります。会期の延長など論外です。

紛れもない戦争支援

 自衛隊の米軍艦船などへの給油活動がテロ勢力の活動を阻む「海上阻止活動」に限る、という政府の説明は事実に反します。

 インド洋での米軍作戦は、「アフガニスタンでのテロとのたたかいにおける重要な一部」(二〇〇三年五月の第五回日米調整委員会での米側説明)です。日本の給油支援は、紛れもない「報復戦争」支援です。アフガニスタン領土での武力攻撃と違うという政府の言い分は戦争支援の事実をいつわるものです。

 しかも、日本共産党の議員が米海軍ニュースを示して追及した、アフガニスタン領土の空爆を実施した米艦船への給油の事実も政府は認めざるをえませんでした。新テロ特措法案でも、空爆を実施する艦船への給油は海上阻止活動を任務にしている限り「問題はない」と町村信孝内閣官房長官は明言しています。武力行使と一体化した支援は後方支援であっても憲法違反だというのが政府見解です。憲法違反の新テロ特措法案は廃案にするしかありません。それが参議院選挙で示された民意に沿う態度です。

 アメリカのアフガニスタンへの「報復戦争」は、ほかならぬアフガニスタンからの非難も強まり、ゆきづまっています。六年をこえる戦争がテロを拡散させ、多くの国民を無差別に殺りくしてきたからです。

 NATO(北大西洋条約機構)中心の国際治安支援部隊(ISAF)をまきこんだ米軍の武力攻撃で被害が激増していることから国民の怒りが急激に広がっています。

 アメリカのABCテレビなどがアフガニスタン全土で、面接方式で行った世論調査によれば、アメリカのとりくみを「評価する」と答えた人は42%でした。二年前の68%に比べ激減です。米軍が攻撃をくりかえしている相手のタリバンへの支持が増え昨年のほぼ三倍になっています。

 この調査結果は、治安が悪化し米軍などの武力攻撃によって犠牲者が激増していることへの怒りの広がりを示しています。

 「報復戦争」が事態を悪化させているのは、六年をこえる経過をみてもあきらかです。政府は、日本の「報復戦争」支援がアフガニスタン国民を苦しめている実態を直視し、戦争支援をやめるべきです。テロと報復戦争の悪循環を助長するだけの新テロ特措法案に固執すべきではありません。

問われる外交的役割

 いまアフガニスタンでは大きな節目を迎えています。カルザイ大統領は、テロと関係のないすべてのタリバンと交渉するという「平和と和解のプロセス」をすすめています。議会上院はそのために、米軍などの軍事掃討作戦をやめるよう求めています。アフガニスタンの現実が求めているこの和平の願いにこたえることこそ必要です。

 日本政府は、戦争の中止を働きかけ、和平実現に向けた政治的・外交的役割を果たすべきです。


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