2007年12月6日(木)「しんぶん赤旗」
正規国連軍とは?
〈問い〉 民主党の小沢代表は、自民党時代の1993年に出した提言では、日本は正規の国連軍には参加するという立場だったのが、現在は、国連決議にもとづくなら多国籍軍でも参加することを提案しています。正規の国連軍というのがあるのですか。(東京・一読者)
〈答え〉 国連憲章は第7章で、平和にたいする脅威や平和の破壊、侵略にたいして、非軍事的な措置では不十分なことが明らかになった場合には軍事的措置をとることができると規定し、それに必要な兵力は、加盟国が安全保障理事会と特別協定を結んで提供するものとされています。提供された兵力は、安保理常任理事国によって構成される軍事参謀委員会の指導のもとに置かれることになっています。こうした規定にもとづいてつくられる国連指揮下の国際兵力を正規の「国連軍」と考えることができます。
ところが、こうした正規の国連軍はこれまで一度もつくられたことがありません。1950年の朝鮮戦争のさいに「朝鮮国連軍」がつくられたことがありますが、実際は、ソ連欠席のもとで安保理が米国中心の多国籍軍に「国連軍」を名乗ることを認めただけであって、正規の国連軍ではありませんでした。
一方、国連が国際的な紛争にたいして展開してきた国連平和維持(PKO)部隊は、国連として正規に派遣するものですが、国連憲章第7章にもとづく国連軍とは性格が根本的に異なります。国連軍は、平和の破壊や侵略にたいして軍事的強制措置を実施するのが任務ですが、国連PKOは、現地の敵対勢力の間に割って入って戦争や紛争を押しとどめ、停戦を監視したり平和構築を後押しするためのものであり、戦闘行為は本来の任務ではありません。
安保理決議にもとづく、いわゆる「多国籍軍」というのは、国連加盟国の自発的行為としての連合軍に安保理がお墨付きを与えたものでり、国連には指揮権がありませんし、費用も参加国が負担します。最近は、国連PKOと多国籍軍との境界があいまいになる傾向があります。
日本は、戦争放棄と戦力不保持を定めた憲法9条によって、国連の軍事活動にはいずれも参加できません。(小)
〔2007・12・6(木)〕