2007年12月8日(土)「しんぶん赤旗」

3兆円 米軍再編 “もうけの好機”

日米軍需企業が注目

接待疑惑の元米高官主催 会合報告で判明


 日米の軍需企業や政府関係者が毎年、米国で開催している「日米技術フォーラム」で、総額三兆円とされる在日米軍再編が利益獲得の「新たな分野」として注目されていることが判明しました。五月の会合の報告書に記載されています。


 同会合は、軍需専門商社「山田洋行」からの収賄容疑で逮捕された守屋武昌前防衛事務次官らとともに、山田洋行の宮崎元伸元専務(贈賄容疑で逮捕)の接待を受けたとされるジム・アワー元米国防総省日本部長が一九九〇年から主催。今年五月に第十八回会合が開かれました。

 同会合は従来、戦闘機やレーダー、通信網など先端軍事技術を議題としてきましたが、担当事務局が作成した五月の会合についての報告書は、「予算の傾向から新たな日米共同の分野がある」「その分野とは、大きな予算が必要となる日本周辺における米軍の再編である」と指摘。総額一兆円ともいわれる沖縄県名護市への米海兵隊新基地建設や、日本政府が七千億円以上を負担するグアムでの米海兵隊基地建設など七分野(別項)を列挙しています。

 このうち、グアムや名護市での基地建設については、「設備建設ではネットワーキング、通信、セキュリティー等の分野でハイレベルの技術が要求される」との見方を示しています。日本企業の参入について、武器類を含んでいないため「武器輸出三原則のような制約がない」「世論の賛同を得やすい」などと述べています。

 「再編は今後十年間にわたって重要な日米協力の分野になる」との意見も出ており、長期にわたって日米の軍需企業の利益を引き出そうという狙いが示されています。

 グアムでの基地建設では、すでに宮崎元専務が設立した「日本ミライズ」が「参入計画書」を作成。今年、防衛省が東京・大阪・グアムで開催した業者説明会には日米の軍需企業や大手ゼネコンなどのべ九百社が出席するなど、「三兆円市場」に群がる企業の動きは急速に強まっています。

 アワー氏は軍事利権団体「日米平和・文化交流協会」との接点があり、昨年八月に同協会などが主催した「日米安保戦略会議」にも出席しました。


 米軍再編 昨年5月に日米両政府が合意。米軍基地の機能強化と日米の軍事一体化を柱としており、(1)沖縄のキャンプ・シュワブ沿岸部への新基地建設(2)グアムへの米海兵隊基地建設(3)米陸軍キャンプ座間での新司令部創設(4)米空母艦載機の岩国基地移転−などが主な内容です。2014年に完了する計画です。


再編ビジネスで狙う7分野

●名護新基地建設の調査、設計

●グアムへの米海兵隊移転の準備

●沖縄・米空軍嘉手納基地所属機の訓練の本土移転

●情報共有

●米艦船へのSM3ミサイル配備

●「ミサイル防衛」 海上自衛隊イージス艦へのSM3ミサイル配備

●「ミサイル防衛」 日本のPAC3迎撃ミサイル配備



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