2007年12月9日(日)「しんぶん赤旗」

「核抑止」戦略の現状は

非核政府の会がシンポ

東京


 非核の政府を求める会は八日、東京都内で「今日の『核抑止』と日本の進路」をテーマにしたシンポジウムを開きました。核兵器廃絶を求める世界の流れに対する逆流となっている米国の「拡大抑止」戦略や「核抑止」論について、五人のパネリストが討論しました。

 五月の日米安全保障協議委員会の共同文書で、核兵器と通常兵器の双方を含む「米国の軍事力」を「拡大抑止の中核」としました。

 新原昭治氏(国際問題研究者)は、「核抑止」の名で米核攻撃戦略に日本国民を道連れにしようとしていると指摘。米核攻撃戦略のもとで「日米同盟」再編と結びついているとのべました。

 中嶋篤之助・元中央大学教授は、「核抑止」の発端は、戦後のソ連の発言権をおさえ、アジアにおける拡張を阻止するために米国が原爆投下をしたことにあると指摘し、戦後の「核抑止」の動きをたどりました。

 「東奥日報」編集委員・三沢支局長の斉藤光政氏は、米国の「核態勢見直し」の柱の一つとなっている「ミサイル防衛」計画について、青森県を「モデルケース」としてXバンドレーダーの配備などがすすめられていることを告発。「防衛」というが、「仮想敵」とされる国へのミサイル拡散につながっているのが実態だと批判しました。

 藤田俊彦・前長崎総合科学大学教授は、第六十二回国連総会で採択に付された核兵器に関連する決議二十案件のすべてに米国が反対したことを紹介。日本が提案した決議は究極的核兵器廃絶論の改定版にとどまっているものであり、「核抑止」論にたっている矛盾の表れだと指摘しました。

 日本共産党の笠井亮衆院議員は、アフガン戦争支援は世界の少数派であり、インド洋から自衛艦を撤退させた今こそ「平和と和解への努力」の後押しをすべきだと強調しました。「ミサイル防衛」も日米軍事利権の対象となっている疑惑が深まっていると指摘し、米国追随外交から脱却し、非核・平和の自主・自立外交に転換すべきだと語りました。



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