2007年12月11日(火)「しんぶん赤旗」
主張
労働者派遣法
使い捨て許さない抜本改正を
偽装請負や日雇い派遣など派遣労働の違法・脱法行為が後を絶ちません。労働者派遣法のたび重なる「規制緩和」によって、事態は悪くなるばかりです。「未来に希望を抱き、人間らしく働きたい」という派遣労働者の願いは切実です。その願いを実現すれば、社会と経済の発展をもたらします。
厚生労働省はいま、労働者派遣法の見直しの議論をしています。働く人の立場に立った抜本的な改正が緊急の課題となっています。
非正規労働者の権利保護を
労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律)は一九八五年七月に成立以来、連続して改悪されてきました。
最初は限定的で専門職に限られていた派遣労働の業種は、八五年の十三から十六(八六年)、二十六(九六年)と次々に拡大され、九九年には「原則自由化」とされました。二〇〇四年三月からは、それまで禁止されてきた製造業にも広げられました。
財界・大企業の強い要求によるもので、大きな狙いは自由に調達・解雇できる労働力の確保であり、国際競争力の名で人件費を低く抑えることでした。
その結果、いまや非正規労働者が全労働者数の約三分の一を占めるようになっています。若者にいたっては半数近くが非正規です。派遣期間(現行三年)を超えて働かせた場合は派遣先に直接雇用の義務があるにもかかわらず、積極的に指導しない厚労省の姿勢と相まって正規雇用はいっこうに増えていません。
登録型派遣である日雇い派遣は、とくに深刻です。仕事がある日だけ携帯電話にメールが届き、指定された仕事先に行くという働かされ方で、極端な不安定雇用と低賃金のうえ、賃金のピンハネ、多重派遣などの違法行為がまん延しています。
人間らしく働けるよう雇用のルールを確立することは、いまや国民共通の願いであり、労働者派遣法の抜本改正を求める声は党派を超えて強まっています。先月末には、幅広い労働組合と与野党の国会議員が参加して「今こそ派遣法改正を実現しよう」と集会も開かれました。
日本共産党は職場の無法をなくすために党をあげてとりくみ、九九年に派遣法を「派遣労働者保護法」に改め、一般労働者と同じ権利を派遣労働者にも保障する改正案を提示、〇七年には「いまこそ人間らしく働けるルールを」との緊急提案を出し、日雇い派遣の是正や正社員への登用など先駆的な改善提案をしてきました。
派遣法改正で大事なことは、これまでの無原則な規制緩和路線ときっぱり決別し、雇用は直接・常時雇用を原則とし、派遣は臨時的・一時的な業務に限ることを明確にすることです。そして派遣の形態は常用型を基本とし、登録型派遣は例外にし、日雇い派遣は直ちに禁止すべきです。また派遣期間を超えたり違法行為があった場合は派遣先に直接・常用雇用を義務づけること、派遣元のマージン率の上限を規制することが重要です。
首相は自らの言葉に責任を
福田康夫首相は所信表明演説で「若者が明日への希望を持てる国づくりをめざす」とのべました。福田首相はその言葉に責任をもつべきです。
派遣労働者の雇用と権利、生活を保護する措置を直ちに拡充するよう、草の根の運動と国会の力を結んで迫っていきましょう。