2007年12月11日(火)「しんぶん赤旗」
原油高騰・税金・子育て
国民支援策と根源示す
NHK「日曜討論」 小池政策委員長
日本共産党の小池晃政策委員長は九日、NHK「日曜討論」に出席し、原油高騰、道路特定財源、少子化対策などについて、各党の政策責任者と討論しました。
原油高騰―
投機は規制を
原油高騰問題について小池氏は、運送業や低所得者、高齢者世帯、寒冷地など深刻な影響が出ている分野で、減税や「福祉灯油」などの緊急な支援が必要だと強調。同時に価格暴騰の背景にはヘッジファンドなどの国際的投機資金流入があると指摘しました。サミット(主要国首脳会議)ではドイツやフランスが国際的投機の規制を主張したのに日本やアメリカは反対したことを紹介し、規制の必要性を訴えました。
さらに、石油の大手元売り六社がこの三年半で二兆六千億円も利益をあげていると述べ、国民への還元、便乗値上げの監視などを提起。「国民への支援策とともに、根っこにある問題にもメスをいれる必要がある」と強調しました。
原油への国際的投機の規制について自民党の谷垣禎一政調会長は「小池さんの主張は正しい」と同調しました。
道路特定財源与党案―
既得権益残す
政府・与党が決定した道路特定財源の「見直し」案が議論になりました。同案はガソリンに課税する揮発油税などに適用している暫定税率の十年間延長、十年間の道路整備費として五十九兆円、道路特定財源の「余剰分」の「一般財源化」などを打ち出しています。
小池氏は「暫定税率のままで十年間維持というのは、税率も特定財源という仕組みも十年間つづける、いわば恒久化につながっていくものだ」と批判。「『一般財源化』と書いてあるが、これは道路に目いっぱい使って余った分だけ『一般財源化』するという話で、本来の一般財源化ではない」と指摘しました。
道路特定財源は「道路にしか使えない非常に硬直した仕組み」だと述べ、「地方にはつくるべき必要な道路があるわけだから、それは地方の裁量権で、一般財源で道路をつくる。道路も大切だし、社会保障も教育も子育ても大切だ。優先順位は地方の裁量権で、まさに地方分権で考えていけばいい」と強調。「一般財源にするとムダな道路がつくれないから、こういう枠組み、既得権益を残したいということではないのか」と批判しました。
財源「埋蔵金」―
軍事費・大企業減税にメスを
財源問題にかかわり、特別会計の積立金、いわゆる「埋蔵金」問題が議論になりました。
小池氏は、「ムダなものがあれば当然、活用すべきだ」とのべる一方、「『埋蔵金』だと大騒ぎして、結局なかった、じゃあ消費税だというふうに議論をもっていく危険性を大変心配している。本当の意味での埋蔵金というのは五兆円の軍事費、五兆円規模の大企業減税、二兆円規模の大資産家減税―ここにメスを入れるべきで、そこから社会保障の持続的な財源を生み出すべきだ」と力説しました。
少子化対策、子育て―
国の責任で30人学級を
少子化対策・子育て支援策について、児童手当などの給付を拡充する与党案、中学生までの子どもに二万六千円を支給する民主党案が紹介されました。
小池氏は、「少子化対策が必要だといいながら、(政府・与党は)子育て世代にいちばんきびしい負担増をこの間やってきている。定率減税廃止、年金保険料の引き上げ、みんな子育て世代に打撃だ。少子化対策といいながら逆に子育て世代をたたくような政治をやっていて何が少子化対策か」と厳しく批判。
与党のいう「ワークライフバランス」(仕事と家庭の両立)についても、長時間労働を放置していると指摘しました。民主党の子ども手当についても、財源を所得税増税などに求めており、高校生以上の子どもを持つ家庭は増税だけが押し付けられる問題点を指摘しました。
OECD(経済協力開発機構)の学力調査で日本の高校生の学力水準が下がってきていることが紹介され、議論になりました。
小池氏は、「教師が学力やいじめの問題に対応するためには、本当の意味でのゆとり、子どもと向き合う時間が必要だ」と強調。“学力世界一”のフィンランドは、二十人学級だと述べ、「地方自治体や中央教育審議会、文部科学省も一致して教員を増やせといっているときに、自民党はそれに抵抗するのか。国の制度として三十人学級に踏み出すべきだ」と求めました。