2007年12月12日(水)「しんぶん赤旗」
強制連行などの戦後補償 どう考える?
〈問い〉 西松建設の中国人強制連行、強制労働にたいする裁判で最高裁がこの4月に「日中共同声明で裁判上の個人請求権は放棄された」と補償をしりぞける判決をおこないました。しかし、これで終わらせていいのでしょうか。貴党は戦後補償問題をどう考えていますか?(福岡・一読者)
〈答え〉 戦後補償問題について、日本共産党は、「二度とふたたび侵略戦争の過ちをくりかえさない決意の試金石として、国家責任の立場で補償問題にとりくむべき」だということを一貫してつよく主張しています。この立場の基本は1994年9月6日付の文書「侵略戦争の反省のうえにたち、戦後補償問題のすみやかな解決を」で明確にしており、いまも変わっていません。
政府が戦後補償問題に背をむける「論拠」は、過去に結んだ国家間の賠償請求放棄により、補償問題は国際法上、解決ずみであり、個人への補償は必要ないというものです。西松建設にかんする訴訟の最高裁判決(07年4月27日)も、この政府の「論拠」と同じ不当なものです。
これについて、政策では―
「国際法上、個人の補償請求権の問題は、国家間で解決することがこれまで通例となってきたことはたしかである。しかしそうではあっても、国家間の協定ですべての問題が包摂されえない事態や、協定の成立時には予想もしていない問題があきらかになることもある。…したがって、いったん協定が結ばれれば、それですべてが終わったとは言い切れないことは当然である。しかも、1968年に国連で採択された『戦争犯罪及び人道に対する罪に対する時効不適用条約』により、人道にたいする罪には時効がないことが、国際法上は明確になっている。また、66年の国際人権規約では、人権尊重が国の国際法上の義務とされ、国家とは別に個人が人権侵害にたいして国連に告発する道もひらかれている。すでに国家間で協定が締結されていることを理由に、人道上の犯罪の賠償を回避することはできない」とのべています。
政府が戦後補償問題を回避するもう一つの「論拠」は、いったん個人補償をすれば他の問題にも波及し、数十兆円にものぼる際限のない補償となって、国の財政が破産するというものです。これについて政策では―
「もちろんわが党は、あらゆる補償要求にたいして、すべて無制限にこたえよともとめているのでなく、それぞれのケースごとに、その性格、国際法上の問題等を慎重に検討すべきことはいうまでもない。しかし、従軍慰安婦問題、サハリン残留朝鮮人問題など、国家による人道的な犯罪にかかわる問題は、すみやかに必要な賠償をすべきことを主張する」と指摘しています。
補償をもとめている人びとはすでに高齢となり、解決のために一刻の猶予も許されません。政府、当該企業の責任ある対応がつよくもとめられます。(喜)
〔2007・12・12(水)〕