2007年12月13日(木)「しんぶん赤旗」
「消える年金」
消せない発言
五千万件にのぼる「宙に浮いた」年金記録のうち約四割にあたる千九百七十五万件が「特定困難」になっていることが判明し大問題になっています。ところが、政府側は「三月までに五千万件のすべての行き先を確定するということまで説明したつもりはない」(町村信孝官房長官)などと述べ、公約違反ではない、と居直っています。参院選での発言からしてそんな言い逃れは通用しません。
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「宙に浮いた」年金記録問題が大問題になった直後、安倍晋三首相(当時)は、来年三月までに、年金記録を突き合わせるという緊急対策を発表。「最後のお一人に至るまですべて記録をチェックする」(七月五日の記者会見)と断言。参院選では、自民党政策ビラなどで「来年3月までに、未確認の年金記録は確実に名寄せを完了させます」と公約しました。
さらに参院選最中に「年金記録問題への対策」という特集を組んだ政府広報「あしたのニッポン」を大量配布。「最後のお一人まで正しく年金をお支払いできるよう着実に対策を進めています」と大宣伝しました。
街頭演説で「最後の一人に至るまでチェックする」と絶叫して回ったのは安倍氏だけではありません。公明党の浜四津敏子代表代行も「一年以内にこの問題を解決する」(七月二十二日、大阪市)などと明言していました。公明新聞六月二十一日付でも、「必ずやります」「一年以内に名寄せを完了」などと書いています。
参院選で与党が大敗した後も、政府・与党は公約として掲げ続けます。
安倍改造内閣発足直後の記者会見で、舛添要一厚生労働相は、「私も、各地で街頭演説をやるとき、最後の一人、最後の一円までがんばってやるということを公約として申し上げた」(八月二十八日)と表明。記者から「公約に政治生命をかける意気込みか?」と問われると、「それは全力をあげて命がけでやらないといけない」と大見えをきったものでした。
それが「特定困難」になったことが判明したとたん、「解決するといったかな」(十一日、福田康夫首相が記者団に)、「三月が終われば、すべて年金問題がばら色の解決ができて、全部終わっているという誤解があったんだろう」(同日、舛添厚労相)などという発言を連発しはじめる無責任ぶりです。
国民の老後のくらしにかかわる大問題をこれほど軽く扱う政府の姿勢に、「こんな開き直りは許せない」(「毎日」十二日付社説)という厳しい批判が上がっています。
参院選公約では
■参院選直前(7月5日)
安倍晋三首相「最後のお一人に至るまで、すべて記録をチェックし、保険料をまじめに払っていただいた方々に正しく年金をお支払いしていく」「1年以内に名寄せを行い、突き合わせをおこなう」(通常国会終了後の記者会見)
■安倍改造内閣発足後(8月28日)
舛添要一厚生労働相「最後の一人、最後の1円まで頑張ってやるということを公約として申し上げました」「まさに公約を果たしたい」
それが一転
福田康夫首相「解決するといったかな」(12月11日)
町村信孝官房長官「選挙中ですから、ある程度こう、簡略化して物をいってしまっているところが確かにあった」(同)
舛添厚労相「3月が終わればすべて年金問題がばら色の解決ができて、全部終わっているという誤解があったんだろう」(同)
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