2007年12月14日(金)「しんぶん赤旗」
温暖化防止2007バリ
京都議定書復帰を
米国に世界の声
【ヌサドゥア(バリ島)=鎌塚由美】温暖化の原因となる温室効果ガス排出の削減を先進国に義務付けた京都議定書の第二約束期間(二〇一三年以降)の交渉開始が期待されるバリ会議。オーストラリアの京都議定書の復帰に伴い、未批准国として残るのは最大の温室効果ガス排出国である米国だけです。環境NGO(非政府組織)などからは会議の進展を阻む元凶と名指しされるなど、米国への風当たりが一段と強まっています。
十二日に開幕した閣僚級会合では、京都議定書の批准書を国連事務総長に提出したばかりのオーストラリアのラッド新首相が演説。「批准したのは、気候変動は現代の時代の重大な道義的、経済的挑戦の一つだと確信するからだ。オーストラリアは今、この挑戦にこたえ、責任を担う用意ができている」と語り、大きな拍手を受けました。
一方、米国のワトソン上級交渉代表は十日、記者会見で「京都議定書への態度を変えるつもりはないのか」と問われ、「ない」と即答。「先進国で唯一(京都議定書を)批准していない国」とのレッテルは「正しくない」と反論し、トルコを名指しして自国を正当化する奇論を展開しました。
これに対し、閣僚級会合でラッド首相に続いて発言した太平洋の島しょ国・パラオ共和国のレメンゲサウ大統領は、オーストラリアの議定書批准は「積極的な動き」だとし、「米国が遠く取り残されないことを皆で期待しよう」と強調。温暖化で同国の海岸浸食が起こっていることを紹介し、取り組みには「利己的でない態度」が必要だとし、国連気候変動枠組み条約と京都議定書に「立ち戻り、再活性化することは必須だ」と訴えました。
また、温暖化の影響による海面上昇が最も深刻に表れているツバルのテイ副首相は、京都議定書は温暖化防止の取り組みの「重要な最初の一歩」だとし、オーストラリアの批准を評価。さらに「われわれはもっと行動しなければならない」と述べ、「特に米国に、真剣に同じことを検討することを求める」と訴えました。
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