2007年12月15日(土)「しんぶん赤旗」
トヨタ社員の過労死確定
年金不支給取り消し 国が控訴断念
トヨタ自動車の堤工場(愛知県豊田市)に勤めていた内野健一さん=当時(30)=が二〇〇二年に急死したのは過労が原因として、妻の博子さん(37)が国を相手取り、遺族補償年金などの不支給処分を取り消すよう求めた裁判で、厚生労働省は十四日、控訴を断念すると発表し、労災を認めた名古屋地裁判決(十一月三十日)が確定しました。
裁判では、トヨタ側が残業代の支払い対象としていない「創意くふう提案」や「QC(クオリティーコントロール)サークル」などの活動の業務性が問われ、名古屋地裁は「使用者の支配下における業務」と認定。死亡直前の一カ月の時間外労働を四十五時間三十五分しか認めなかった労基署の主張をしりぞけ、百六時間四十五分と判断しました。
原告側の弁護団は、トヨタが「個人の自発的な提案」とみなしている仕事改善活動の「業務性を認め、トヨタにおける巧妙な賃金不払労働の実態を明らかにしたことは画期的な意義がある」とし、判決を評価しています。今後の過労死事件における労働時間の認定のあり方に、大きく影響することは必至です。
日本共産党は、小池晃参院議員が十一日の厚生労働委員会の質問で、控訴を断念するよう求めてきました。