2007年12月16日(日)「しんぶん赤旗」
南京事件70年
戦争犯罪は裁判で認定
過去と向き合い和解と平和を
東京で国際シンポ
「南京事件70周年 国際シンポジウム―過去と向き合い東アジアの和解と平和を」が十五日、東京都千代田区の明治大学で始まりました(十六日まで)。同シンポジウムは今年三月から欧米、アジアの八カ国で開催され、議論を重ねてきたもので、今回はその成果を踏まえての開催です。参加者約三百六十人が平和への道を考えました。
記念講演した米国・コーネル大学教授のマーク・セルデンさんは、日本の市民運動の広がりを例に挙げ、「東アジアとの和解の基盤はできている」と語りました。
「『戦後補償裁判』が未来に果たす役割とは何か」をテーマに四人のパネリストが討論しました。強制連行・強制労働事件など中国人戦争被害者の裁判闘争は十年を超えます。敗訴しているものの、個々の判決は詳細な事実認定をしています。
弁護士の南典男さんは事実認定を「大きな成果」と評しました。原告や弁護団が裁判を通して求めているのは日本政府の被害者への謝罪と補償、日中間の共通の歴史認識、日中友好の構築だとのべました。
また、司法が政治解決を求める判断をし、日中双方で解決を求める市民のとりくみがつくられていることは「和解に向けて今後、大きな意味をもつ」と語りました。
細菌戦裁判に人類学者として携わってきた東京女子大学教授の聶莉莉(にえりり)さんは、裁判の果たしてきた役割について、戦争犯罪が歴史的事実として究明されたことや、被害者に人間の尊厳を求める場を与えたことなどをあげました。
「南京事件 発生の背景と沈黙の構造」と題して、一橋大学教授の吉田裕さんと哲学研究者の能川元一さんが対談。参加者の質問に答えました。
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