2007年12月17日(月)「しんぶん赤旗」
主張
原油高騰対策
深刻な被害に実効ある対策を
原油の高騰で石油が大幅に値上がりし、北海道、東北をはじめ、くらしに深刻な影響が出ています。食料品や生活必需品も原材料や穀物価格の高騰で値上がりしています。
ハウス栽培の農家や漁業者、トラック運送業者、ガソリンスタンド、銭湯、クリーニング店など、燃料油を使う業種では経費の大幅な上昇で営業が脅かされています。
内閣府や日銀の調査でも、生活用品やコスト上昇で消費者・企業の景況感が大きく悪化していることが浮き彫りになりました。実効性のある対策を緊急に取る必要があります。
日本共産党が提案
この問題で日本共産党国会議員団は四日、具体案を示して町村信孝官房長官に申し入れをしました。
日本共産党の提案は、「福祉灯油」など寒冷地、低所得者向けの支援策や離島対策を国の責任で制度化すること、運送業者、中小業者、農林漁業者ら被害を受けている方々への緊急の減税など、きめ細かい実効ある措置を求めています。
さらに日本共産党の提案は、より根本的な課題として、原油価格を暴騰させている投機資金を抑えるために、投機規制の国際協調を実現するよう日本政府が全力をあげることを要求しています。
町村官房長官は「みなさまからのご意見を参考にさせていただく」と答えました。福田内閣が十一日に発表した原油高騰対策の「基本方針」は、「福祉灯油」を支給する自治体への支援や一定の離島対策など、国民の切実な声や日本共産党の提案を受けた対策も入っています。
しかし、国がどれだけ負担するか、支援の規模はどのぐらいかなど、肝心のポイントがはっきりしていません。これらは、国の責任を明確にした制度として早急に具体化する必要があります。
政府の「基本方針」は、資金繰りが悪化した中小企業に対して政府系金融からの借入金の返済条件を緩和するとしていますが、この程度ではまったく不十分です。中小業者からは債務返済の一時停止や繰り延べ、金利ゼロの制度融資など抜本的な支援策を求める声があがっています。
業種によっては三割程度も仕入れ価格が上がっています。それにもかかわらず、消費低迷の折、多くの中小零細業者が値上げできずに苦しんでいます。金融面の支援にとどまらず、国の責任で緊急の減税措置を実行するなど、深刻な実態に見合った対策を取る必要があります。
国民の不安に応えて
所得が増えないのに生活用品が値上がりして消費者の財布のひもがいっそう固くなっています。そのため消費そのものが冷え込んで、消費者に身近な中小業者の経営がさらに困難になる悪循環が起きています。
内閣府の「景気ウォッチャー調査」に、「生活用品の値上がりに加え、消費税増税の話もあり、消費者心理が冷え込んでくる」と小売業者の不安の声が出ています。政府・与党は、財源と言えば消費税しかないかのような一方的な主張がどれほど国民の不安をあおっているかをよく認識し、大企業負担や軍事費を聖域にする態度を改めるべきです。
くらしや営業の厳しい現実にふさわしい措置をしっかり実施し、不安で年を越せないという事態を絶対につくらないよう政府の対策を充実すべきです。同時に、緊急対策を取ってもどんどん原油が値上がりしたのでは追いつきません。日本共産党が提案している投機マネー規制などの根本策に踏み出すよう求めます。