2007年12月19日(水)「しんぶん赤旗」
米陸軍第1軍団
前方司令部 きょう発足
先制攻撃 迅速化を狙う
神奈川 キャンプ座間
米陸軍第一軍団前方司令部が十九日午後、キャンプ座間(神奈川県座間市、相模原市)で発足します。司令部機能の強化を掲げる在日米軍再編の象徴的な動きですが、地元座間市は、「基地の恒久化につながる」として同司令部反対の立場を貫いています。(竹下岳)
「われわれが日米同盟を支えているという強固な象徴だ」。第一軍団司令部のジャコビー司令官はこう強調し、座間での前方司令部創設を、イラク戦争遂行などと並ぶ「重要課題」に挙げました(同司令部機関紙ノースウェスト・ガーデン十月二十六日付)。
米北西部のワシントン州フォートルイスを拠点とする第一軍団は、アジア・太平洋全域への「急派」を任務としています。イラク、アフガニスタンでの作戦の主力部隊を傘下に置いています。
日米一体
今年八月に「前方司令部」移行チーム(三十人)が発足し、九月には後方支援を担当してきた「第九戦域支援群」を解体。十二月十九日に前方司令部が正式に発足し、来年八月までに九十人体制とします。
後方支援が主任務のキャンプ座間に戦闘司令部を置く構想が出たのは、「前方」の日本に移って部隊派遣を円滑に進め、「対テロ」を口実にした先制攻撃戦争を迅速に行うためです。
陸上自衛隊の海外派兵部隊を指揮する「中央即応集団司令部」(東京都)も二〇一二年までに座間に移転し、日米の軍事一体化を加速する狙いもあります。
多様な任務が想定される戦闘司令部は、当初はフォートルイスから第一軍団司令部の機能を移転し、司令官の階級も、従来の在日米陸軍司令官の「少将」から「中将」に格上げする構想でした。
式典欠席
しかし、地元の座間市は住民とともに「第一軍団司令部反対」を主張。米軍再編を容認する自治体への「再編交付金」の対象から除外されても反対姿勢を貫き、十九日の発足式典にも出席しません。神奈川県や相模原市など周辺自治体の首長も出席を見送る意向です。
在日米陸軍関係者は「座間市は、なぜ容認しないのか。再編交付金で町が栄えるのに」と、いら立ちをあらわにしています。
周辺自治体は、基地強化が先行し基地返還の道筋が示されないことに強く反発。キャンプ座間や近隣の相模総合補給廠(しょう)に「ハンビー」(高機動多目的装甲車)など軍用車両数百台を搬入する計画も進められており、懸念は強まっています。
このような状況を反映してか、今回は、当初想定された米本土からの機能移転ではなく、キャンプ座間の兵力を「第一軍団前方司令部」に「改編」し、司令官はパーキンス在日米陸軍司令官(少将)が就任することになりました。ジャコビー司令官も、「人員の増加はわずか」(十日の記者会見)と、“小規模”ぶりを強調しています。
とはいえ、在日米陸軍司令部は、米本土からの兵員・装備の移転は「現時点では求められない」(八月三十一日付の報道発表)と述べ、将来的な機能移転に含みを残しています。「一四年までに軍団司令部の本体機能を移すことも目標とされている」(「朝日」十日付)との報道もあります。
神奈川 キャンプ座間
座間・相模原市の中心部に位置し、面積は約235ヘクタール。戦前は旧日本陸軍士官学校で、戦後、米軍が接収。現在は在日米陸軍司令部や在日米陸軍基地管理部隊が置かれ、19日に第1軍団前方司令部が発足。兵員約590人、軍属約560人(2006年9月現在)
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