2007年12月24日(月)「しんぶん赤旗」
薬害肝炎 一律で救済
首相表明 「議員立法で」
原告団“国の責任踏まえよ”
薬害肝炎訴訟にかんし、福田康夫首相は二十三日記者会見し、「被害者を全員一律救済するために議員立法することを決めた」とのべ、野党の協力も得てできるだけ早く成立させることを表明しました。薬害肝炎原告団・弁護団は声明を発表、「大きな一歩と評価し、問題解決につながることを期待」し、国の責任を踏まえた立法となるよう「一刻も早く原告被害者らと面談し、被害者の声を聞く」よう福田首相に求めました。
首相の表明は、汚染血液製剤投与にかかわる国の責任を狭く限定した二十日の政府和解案が「被害者切り捨て」と強い批判を受け、手直しを余儀なくされたものです。
しかし、「血液製剤製造時からの行政責任も認めるのか」との質問に、首相は「そのことは司法の判断も分かれている。立法過程で明らかにしていかなければならない」と答え、明言しませんでした。法案に国の責任を明記するのかどうかについても、「立法する方に任せたい」とのべました。
一方、舛添要一厚生労働相は「国の責任問題などの具体的なことは今後つめる」とあいまいな答えに終始しました。
首相の表明を受け、自民・公明両党は二十五日、幹事長ら党幹部が法案の内容について協議します。国の責任を認め、原告側が求める被害者全員の一律救済を実現する立法内容になるかどうかが焦点となります。
二十日の政府の和解「修正」案は、大阪高裁が十三日に示した和解骨子案に沿った内容。血液製剤フィブリノゲンは一九八五年八月から八八年六月まで、クリスマシンは八四年一月以降の投与に限ってしか国と製薬会社の責任を認めていません。この期間に製剤を投与された原告には和解金を直接支払い、期間外の被害者には三十億円を「活動支援金」として支払うとしていました。
被害者を原告とそれ以外に分け、他の判決に比べても法的責任の範囲が狭い内容で、原告側は「命の線引き」だと政府案を拒否していました。
穀田氏がコメント
日本共産党の穀田恵二国対委員長は二十三日、福田康夫首相が同日、薬害C型肝炎問題で、議員立法での対応を表明したことについて、マスコミからコメントを求められ、次のように語りました。
議員立法の内容については、今後議論されることになるが、われわれとしては、国と製薬会社の責任を明らかにしたうえで、その補償として原告や被害者の方々がのぞむ全員一律救済の実現のために全力をつくしていきたい。
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