2007年12月24日(月)「しんぶん赤旗」

派遣法改正 見送り狙う厚労省

グッドウィル処分のカゲで


 厚生労働省が日雇い派遣大手のグッドウィルに対して、派遣禁止業務への違法派遣を繰り返していたとして事業停止命令を出す方向で検討していることが二十二日、明らかになりました。

 違法派遣を繰り返す悪質な事業者に処分を行うのは、当然のことですが、遅きに失したという批判は免れません。

 グッドウィルは、二〇〇五年六月、建設業務への違法な派遣で事業改善命令を受けるなど、数々の違法・脱法行為がとりざたされてきました。

政治的思惑か

 「偽装請負」で事業停止命令を受けた派遣最大手のクリスタルを買収し、派遣業トップに踊り出る裏で、違法派遣や不当な給料の天引きなど数々の違法・脱法行為を繰り返すなど社会問題になっていました。

 にもかかわらず、事業改善命令にとどめるなど厳正な処分をせず、不法行為を放置してきた厚労省の責任は免れません。

 今ごろになってグッドウィルの新たな処分の動きが浮上した背景には、焦点になっている労働者派遣法の改正を見送る代わりに、一定の処分でごまかそうとする政治的な思惑もうかがえます。

 労働者派遣法の見直しを審議している労働政策審議会の労働力需給制度部会は二十五日にも、財界・大企業の猛反対にあい、抜本改正を見送る報告書をまとめるとみられています。今回の処分の動きはその“世論対策”という見方も出ていますが、派遣法改正と引き換えにするなど、許されるものではありません。

 グッドウィルがもうけをあげてきた「日雇い派遣」をとってみても、単なる職業紹介にすぎず、本来なら労働者派遣事業として認められないものです。それが大手を振ってまかり通り、“ネットカフェ難民”などワーキングプアをつくりだしていることからも、派遣法の欠陥は明らかです。

抜本改正こそ

 厚労省はあわてて指針などで一定の要件を設けることを検討していますが、禁止すべき違法派遣を装いを変えて存続させるなど許されません。

 大手を先頭に違法派遣が後をたたないのは、「派遣労働は臨時的・一時的業務に限定して、常用雇用の代替にしない」という原則を投げ捨てて、対象業務を原則自由化し、製造業にまで解禁するなど、財界いいなりに規制緩和を進めてきたことが大本にあります。

 派遣労働者の権利を守るためにも、一時的・臨時的な業務に限定するという原点に立ち戻って、登録型派遣の禁止はじめ派遣法を抜本改正することがいよいよ求められています。(深山直人)



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