2007年12月25日(火)「しんぶん赤旗」
インド洋給油
調達先 伊藤忠など2社
225億円、随意契約で独占
関係者が本紙に証言
インド洋上での米軍など外国艦船に対する海上自衛隊の給油活動で、防衛省が給油燃料を調達していた商社二社が二十四日、関係者の証言などで明らかになりました。給油燃料をめぐっては、随意契約による不透明な実態が指摘され、国会でも野党側が再三にわたって調達先の公表を要求。同省は「商社の正当な利益を害する」として拒否してきました。
給油用燃料の調達先は、大手総合商社の伊藤忠商事(大阪市)と燃料関連商社の旭日通産(横浜市)の二社です。関係者は、両社が調達先であることを認め「最初からずっと」独占受注しているとのべました。
給油活動は二〇〇一年から今年十月までの六年間で、約四十九万キロリットル、約二百二十五億円の税金が投入されています。
〇一年からの燃料調達の契約件数は百五十二回(今年四月二日現在)。すべてこの二社が独占的に契約しています。契約の形は二回の指名競争を除いて、すべて随意契約です。
随意契約は、前防衛事務次官の守屋武昌容疑者と、軍需商社山田洋行との贈収賄事件でも、その不透明性が汚職の「温床」として浮き彫りになっています。
伊藤忠と旭日通産の随意契約での選定に当たって同省は、〇一年と〇四年に「燃料供給の能力調査」を実施したとしていますが、調査結果の公表を拒んでいます。契約可能な条件にあった別会社の担当者は「防衛省から話はなかった」と証言しています。
防衛省は、これまで契約先について「一般競争入札で横須賀基地に、艦船用燃料(軽油2号)の納入実績のあるところ」としていました。一般競争入札による契約企業は、旭日通産、伊藤忠のほかに、カメイ(仙台市)と中川物産(名古屋市)を加えた四社です。
インド洋での給油燃料調達について、カメイと中川物産は「関係ない」と明確に否定。一方、旭日通産は「詳細はお答えできない」、伊藤忠は「契約の守秘義務がある」と回答を避けました。
伊藤忠は、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に二〇〇四年一千七百万円、〇五、〇六の各年に一千八百万円を献金。防衛省幹部五人(昨年四月現在)の天下りを受け入れています。旭日通産も海上自衛隊の幹部を受け入れたことがあります。
インド洋での給油活動 アメリカを中心にアフガニスタンなどで行う「対テロ報復戦争」を支援するテロ特措法にもとづき、海上自衛隊が二〇〇一年十二月からインド洋に派兵、米軍など外国艦船に燃料を補給してきました。同法は今年十一月一日で期限切れとなり、海自はインド洋から撤退しましたが、自民・公明与党は、給油活動を再開するための新テロ特措法案を今国会で成立させようと会期を再延長させました。