2007年12月27日(木)「しんぶん赤旗」
書類送検とは?
〈問い〉 「書類送検」という言葉が新聞にありましたが、どういうことですか?(大阪・一読者)
〈答え〉 わが国での犯罪の捜査から起訴までの手続きは、つぎのようになっています。
新聞に出るような刑事事件の場合、警察が被疑者を逮捕し、取り調べののち逮捕から48時間以内に本人の身柄と取り調べた書類などを検察に送ります。これを送検といい、内容を明確にするために「身柄送検」という場合もあります。
なお、送検される書類には、被害届や告訴・告発状、被疑者や目撃者などの供述調書、犯罪現場の検証調書、被疑者を特定する指紋などの鑑識資料、犯罪に使われた凶器などの物、弁護人の意見書など、さまざまな資料がふくまれます。
検察官は、送検された被疑者にたいしてさらにみずから取り調べをおこなうほか、場合によっては警察に再度補充捜査をもとめるなどして、20日以内に起訴・不起訴の処分を決めるか、それとも処分を保留して身柄の拘束(勾留)を解くかを決めなければなりません。いずれにしろ、起訴をして裁判に持ち込むかどうかを判断する権限をもつのは基本的に検察官だけだということになっているので、ささいな事件を除いては、すべて送検されることになっています。
これにたいして、犯罪がおこなわれたと疑われた事件についても、被疑者を逮捕することなく、任意の取り調べだけですます場合や、被疑者が分かっていても逮捕にいたらない場合、あるいは被疑者死亡の場合などもあります。こういった場合でも、起訴・不起訴などの判断を検察官に求める必要があるとして、警察から検察にたいし、事件の一件書類を送付することがあります。これが「書類送検」です。
書類送検は、逮捕されないので一般的には軽い事件で不起訴になるという場合が多いのは事実ですが、そうとはかぎりません。事件が検察に送られるという点では「身柄送検」と同様の意味があり、なかには重要な犯罪として起訴され、有罪になる場合もあります。(法)
〔2007・12・27(木)〕