2007年12月29日(土)「しんぶん赤旗」

北朝鮮 非核化前進の一年

無能力化・申告は越年へ


 北朝鮮が六カ国協議で合意した核施設の無能力化と核計画の申告の期限が、三十一日に迫りました。原子炉からの使用済み燃料棒の抜き取りと核計画の申告は期限に間に合わず、来年に持ち越されることが確実視されていますが、十一月から始まった無能力化作業は今も続いています。二月の「初期段階の措置」での合意から、「第二段階」の核無能力化へと進んだ一年を振り返ります。(中村圭吾)


 「この一年間、北朝鮮核問題では相当な進展があった。合意にそって、無能力化の作業が進んでいる」

 韓国の宋旻淳(ソン・ミンスン)外交通商相は二十七日、ソウルでの記者会見で、北朝鮮核問題での一年間の成果をこう評価しました。

 米朝の対立でこう着状態に陥っていた六カ国協議が動きだす起点となったのは、今年一月の米朝協議でした。六カ国協議の再開に向けて、ヒル米国務次官補と北朝鮮の金桂冠(キム・ゲグァン)外務次官が、ベルリンで会談。米朝の首席代表が直談判で、事態の好転を図ったのです。

 米朝協議での合意に基づき、二月には六カ国協議が再開。北朝鮮の核放棄に向けた「初期段階の措置」のロードマップ(行程表)の作成に成功しました。

枠組みに復帰

 「初期段階の措置」は、北朝鮮が寧辺の核施設を稼働停止するのにあわせ、重油五万トン相当のエネルギー支援を提供するというもの。核放棄という目標から見れば、小さな前進ですが、北朝鮮の核問題が、二〇〇五年九月の六カ国協議の共同声明の枠組みに再び復帰するという大きな意味を持つものでした。

 共同声明は核放棄後の北東アジアについて、米朝・日朝の国交正常化、朝鮮半島平和体制の構築、北東アジアの集団的安全保障体制などのビジョンを示しています。

 北朝鮮が強く求めていた、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮口座の凍結解除についても、三月に米朝間で合意が成立。六月に凍結されていた口座から送金が実施されたことを受け、北朝鮮は七月、寧辺の核施設五カ所の稼働を停止し、合意どおり「初期段階の措置」を履行しました。

「第二段階」へ

 「次の段階」が問題となった十月の六カ国協議では、北朝鮮が五千キロワット黒鉛減速炉、再処理施設(放射科学研究所)、核燃料棒製造施設の「無能力化」、核計画の「完全かつ正確な申告」を実施することで合意。米ロ中韓の四カ国が「見返り」として、重油四十五万トンと、重油五十万トン相当のエネルギー施設用資材を提供することになりました。

 七年ぶりに南北首脳会談が開かれるなど、南北対話・協力のムードも高まるなか、十一月には米国の専門家チームが北朝鮮入りし、無能力化作業を開始しました。

 米朝関係の改善も進み、来年二月には、米名門オーケストラのニューヨーク・フィルハーモニックの平壌初公演も予定されています。

 一方で、無能力化作業と核計画の申告が期限内に完了しないことを憂慮する声も上がっています。「第二段階措置」が履行されれば、初の六カ国外相会談が行われる予定です。



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